高速道路を包み込むような両側の「遮音壁」! 最初期のただの壁からの「驚きの進化」とは (2/2ページ)

遮音壁は進化している

 現在使われている遮音壁の一例を紹介すると、ハニカムの芯材に吸音材を充填し、表面材をハニカムの芯材に固定する構造の遮音壁がある。車両の走行風圧によって表面材がめくれ上がらない構造とし、ハニカム材が吸音材を保護することで、吸音性能の低下を防ぐ工夫が図られている。

 最初期には、音が直接伝わることを防ぐ遮音壁として作られていたものが、走行騒音そのものを吸収する構造に変化し、現在では、性能の維持性を高めることでメンテナンスコストの低減を図るところにまで配慮が及ぶようになってきた。

 また、遮音のため道路をスッポリと覆ってしまう構造だと道路が暗くなってしまうことから、遮音壁の一部を透明のポリカーボネイト製やアクリル製を使う例が増えている。メーカーによると衝突の耐衝撃性に優れるポリカーボネイト製がベストな選択肢だということだが、これら透明素材のものは音を反射してしまうため、前出の吸音機能がある鋼製の遮音壁と組み合わせて使うことが多いという。方法としては、片側を透明板として音を反射させ、対向面にある吸音効果のある鉄製の遮音壁で騒音を吸収する手法である。

 普段走っていて、ほとんどその機能について考えることのない遮音壁だが、その構造や考え方について順を追って考えていくと、いろいろな対処が施されてきたことに、改めて気付かされることになる。たかが遮音壁、されど遮音壁、である。


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