この記事をまとめると
■天皇陛下が乗る車両を「御料車」という
■「皇」のナンバープレートがつけられる
■法律上はどのような存在なのだろうか?
けっして超法規的な存在ではない!
天皇陛下が乗車される車両を「御料車」という。とくに公式行事などで使われる御料車には「皇」のナンバープレートがつけられ、通常の車両とはまったく違う存在であることが素人目にも明らかだ。
「皇」ナンバーをつけている御料車とは、法律上はどのような存在なのだろうか。そもそも通常と異なるナンバープレート(正式名称:自動車登録番号標)と異なるナンバーをつけている時点で、超法規的な存在と感じてしまうが、じつはそんなことはない。
道路交通法、道路運送車両法といった法律的には、我々一般人が乗っているクルマと同格となっている。定期的に車検を通すことは求められるし、救急車などの緊急車両には道を譲らなければならない。
そうはいっても、ナンバープレートが「皇」の文字に数字だけというのは法律に即していないのでは? と思ってしまうが、御料車には特別なナンバープレートをつけることは道路運送車両法にて定められているのだ。
道路運送車両法の『第二章 自動車登録番号標及び封印』の項目を読み進めていくと、以下の表記が出てくる。
(自動車登録番号標の様式等)
第十一条 自動車登録番号標は、第一号様式による。
2 前項の規定にかかわらず、宮内庁の所管に属する自動車であつて、専ら天皇、皇后又は皇太后の用に供すべきものの自動車登録番号標は、第一号様式の二による。
これこそ「皇」ナンバーの法的根拠であり、この文言をそのまま受け取れば、皇族といっても「天皇、皇后または皇太后(≒天皇の母)」が乗る車両にしか基本的には使えないナンバーということになる。
もっとも上記の条件というのは天皇陛下が崩御されて代替わりするという前提にあるといえる。現在の日本においては退位された上皇陛下も含まれると解釈すべきだ。
というわけで、御料車に使われている「皇」ナンバーについては道路運送車両法に基づくものであって、法によって定められているナンバーであることが理解できただろう。
「皇」ナンバーが超法規的なものと勘違いされるのは、おそらく自衛隊車両の影響があるだろう。
高速道路などで見かける機会の多い、自衛隊車両には通常とは異なる6桁の数字だけで構成されたナンバープレートがつけられている。たしかにこれは道路運送車両法に基づく、自動車登録番号標の様式とは異なる。
ただし、これも超法規的なわけではない。自衛隊法 第114条第1項によって『道路運送車両法の規定は、自衛隊の使用する自動車のうち、政令で定めるものについては、適用しない』と規定されている。つまり合法的なものなのだ。
自衛隊法に基づいて独自の標識をつけていなければ公道を走ってはいけないとされているし、基本的に道路運送車両法に準ずる保安基準を満たしていることが求められているなど、けっして自衛隊の車両だから好き勝手ができるわけではないのだ。