売れないクルマを売るための特効薬!? 最近車名が「クロス」だらけなワケ (2/2ページ)

今販売されている「クロス」がつくクルマは?

「クロス」が付く代表は、カテゴリーが中間的な車種になる。クラウンクロスオーバーは、ボディの後部に独立したトランクスペースを備えるセダンで、いわばセダンスタイルのSUVだ。これはクロスオーバーの典型で、SUVの外観と、セダンの高いボディ剛性や後席の静粛性を融合させた。

 クロストレックは、先代型までは国内の名称がXVだった。これもインプレッサスポーツに、外装パーツを加えて最低地上高(路面とボディのもっとも低い部分との間隔)を200mmまで高めたクルマだった。中間的な印象が強く、クロスオーバーの表記がピッタリだ。

 タントファンクロスも同様で、基本的な機能はタントと同じだが、主に外装パーツの装着によりファンクロスを名乗る。ちなみにタントがファンクロスを加えた背景には、タントの販売低迷があった。先代タントは、軽自動車ではN-BOXの次に多く売られたが(2014年はN-BOXを抜いて1位になっている)、現行型は2019年に登場したのに設計の古いスペーシアも抜けない。2020年と2021年の軽自動車販売は、N-BOXとスペーシアに次ぐ3位だった。

 そこで2022年にファンクロスを設定すると堅調に売れ、タントは2位に浮上している。かつてはインプレッサも、XVの追加で売れ行きを保ったことがある。つまり、「クロス」は困った時の特効薬でもあるのだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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