EVはエンジンがなくても冷却が必要だった! 冷やさなきゃならない理由と3つの方法とは (2/2ページ)

現状では水冷が幅広い使用用途に対応している

 一方、空冷は周辺の温度に影響を受けるため、冷却効果が一定にならないことが挙げられる。真冬で外気温が氷点下の場合と、猛暑日で外気温が40度近い場合とでは、当然ながら冷却性能に大きな隔たりが生じることは明らかである。

 水冷(液冷=油冷の場合も考えられる)は、冷却効果が計算できるため、冷却する各ユニットを一定の温度に保つことができるが、冷却液を循環、それを冷却するための装置(ラジエター機能)が必要で、空冷に対して部品点数、システム重量の増加は避けられない。また、冷却液を循環させるための動力も必要で、このエネルギーは走行用バッテリーから消費されることになる。

 冷媒直接冷却は、その名のとおりエアコンシステムの冷却冷媒を利用する方式で、冷却性能が高く、システムもコンパクト(エアコン+αのレベルで考えてよい)、温度管理も容易で、冷却能力も高い。一方、冷間時にバッテリーを温めることはできず、この点では他の方式と比べて不利な要素となる。

 バッテリーは、高温でも低温でも不安定となり、発熱するという状態から冷却面だけを考えがちになるが、極低温下では容量が低下し、所期の電力を取り出すことができなくなる。この場合、適正温度への温暖化機能が必要となる。

 EVは、回生作用によってエネルギーを回収することができ、こうした意味ではバッテリーに要求される働き、効率化も大きな問題となっているが、各部で発熱した熱エネルギーをどう処理するかも大きな課題のひとつとなっている。こうした意味では、冷暖両方向での安定した使用が可能となる液冷方式が、現状では、幅広い使用用途に対応した冷却システムと考えられている。


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