スバルとトヨタがニューマシンを投入! 2023年の全日本ラリー「JN1クラス」が激戦の予感 (2/2ページ)

トヨタもGRヤリスをベースにした開発モデルで参戦

 一方、スバルWRXラリーチャレンジ2023を駆る新井、鎌田の最大のライバルとなるのが、トヨタGAZOOレーシングのエース、勝田範彦だと言えるだろう。開幕戦の嬬恋こそ、同チームはスキップしていたが第2戦の新城ラリーより勝田もニューマシンで参戦する。しかも、主力モデルはGRヤリスRally2の開発モデル「GRヤリスWRコンセプト」になる予定だ。

 同モデルはRally2の最後発モデルとしてライバル車両をターゲットに開発されているだけに、クラストップレベルのパフォーマンスが期待されている。加えて勝田もまた新井や鎌田と同様に勝てる実力をもつドライバーだ。

 噂によれば勝田は慣れない左ハンドル車に苦労しているようだが、嬬恋をスキップしてフィンランドでトレーニングを行なっていただけに、左ハンドルに対応することができればJN1クラスで主導権を握るに違いない。

 そのほか、開幕戦の嬬恋はスキップしたが、第2戦の新城ラリーからは2022年のJN1クラスチャンピオン、ヘイッキ・コバライネンがシュコダ・ファビアR5で参戦する予定。2連覇に向けてほぼすべてのラウンドにエントリーする見込みだ。2015年にデビューしたファビアR5は設計が古く、最新のRally2モデルと比べると戦闘力は低いが、それでも完成度が高いうえ、コバライネンもペースノートを含めて進化を重ねているだけにタイトル争いを左右する存在と言っていい。

 これに加えて同じくファビアR5の福永も安定感が向上している。開幕戦の嬬恋でもリハビリ中とは言え、新井を抑えて2位入賞。スバルにしてもトヨタにしてもニューマシンにはマイナートラブルがつきまとうだけに、熟成の域に達したファビアを駆る福永も上位争いに絡んでくることだろう。

 そういった意味では全日本ラリー選手権のJN1クラスは再び激戦区になる見込み。少なくとも昨年のコバライネンが演じたように、誰かがポイント争いを独走するようなワンサイドゲームとはならないのではないだろうか。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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