軽自動車とコンパクトカーのコストはあまり変わらない
この背景には、クルマの製造コストのカラクリもある。クルマのコストは、サイズにはあまり影響されない。軽自動車とコンパクトカー、あるいは3気筒の660ccエンジンと3気筒の1500ccエンジンでは、コストがあまり変わらないのだ。
その代わり電動スライドドア、後席の前後スライドやコンパクトに格納できる機能は、部品の点数が増えるからコストも高める。そのために全高が1700mmを超える軽自動車は、価格を高めた事情がある。
ちなみに小型車の価格は、コンパクトカーのフィットホーム・2WDが182万6000円だ。コンパクトミニバンで人気の高いフリードG・2WDの6人乗りは227万5900円になる。このようにN-BOXの価格は、売れ筋グレードのカスタムLでもフィットと同等で、上級のカスタムEXターボになるとフリードに近付く。そしてN-BOXの高価格は、主に採用される部品やユニットの点数に基づく。
そしてN-BOXで最上級のカスタムEXターボ4WD(217万2500円)に、ディーラーオプションの8インチインターナビ+ドライブレコーダーあんしんパッケージ(25万9600円)、外観をライト感覚にドレスアップするブラッククロームパッケージ(4万4000円)を加えると、総額では247万6100円に達する。
以上のように、N-BOXなど全高が1700mmを超える軽自動車の価格は、小型車とほぼ同じだ。それでも販売が好調なのは、価格が高い以上に、便利な機能が豊富に装着されているからだ。
いわば最新のスマートフォンのようなもので、小さなボディに優れた機能が凝縮されているから人気を得た。昭和の時代には「大きな3ナンバー車がエライ!」という価値観があったが、今では忘れ去られ、軽自動車が国内で販売される新車の約40%を占めている。