運転席やステアリングがないクルマの登場も目前
最新版ではステアリング操作支援も加わりました。これは、自動車専用道路で有効なACC(アダプティブクルーズコントロール)という運転支援装備と混同するかもしれませんが、ACCは車線の中央を走行するようにステアリング支援を行う設定となるものが多く、一般道では路肩駐車などの障害物を避ける際のハンドル操作なども想定して、あくまでドライバーの操舵をさりげなくアシストする機能となっています。
事故発生場所としてもっとも多くなっている交差点では、左右の安全確認がしにくいときなどに、左右から接近する車両を検知して、注意を促したり、カメラを活用して死角になるところを車内のディスプレイに写したりすることで、出会い頭の事故防止をサポートする機能もあります。
また、制限速度や一時停止はもちろん、一方通行や進入禁止などの標識を見逃すことによる事故を防ぐため、標識認識機能も多くのクルマに装備されています。
駐車場などで多い事故として、ペダルの踏み間違いによる急加速や衝突が多く発生していますが、これを防ぐのに有効なのが、誤発進抑制機能です。前方に壁などがあるのにアクセルペダルを踏んだときに、加速しないように抑制してくれる機能で、前進だけでなく後退時に作動するものも増えています。障害物がなくても、ブレーキと間違ってアクセルを踏んだと判断すると、急加速を抑制してくれる急アクセル抑制機能も登場しています。
そして2020年4月から、新型車にはオートライトの搭載が義務付けられましたが、それをさらに進化させ、対向車や歩行者など周辺の状況を認識してハイビームとロービームを自動で切り替えたり、夜間の視認性をアップして事故防止につなげるアダプティブハイビームシステムも登場。歩行者や自転車、重要な標識を見落とすことも少なくなるので安心です。
さて、高速道路など自動車専用道路における予防安全装備については、さらに高度な技術が続々と登場しています。すでに多くのクルマに搭載されているのが、レーンキープアシストといった車線維持支援機能や、車線変更の際に後方や死角にクルマがいることを警告するブラインドスポットインフォメーション、安全でスムースな車線変更を支援するレーンチェンジアシストといった機能です。
一部車種では、一定の条件を満たした場合に限り、ハンドルから手も足も離したまま走行したり、車線変更が行えるハンズオフ機能が使えるところまで進化しています。
また、限定100台の販売ではありましたが、一定の条件下において手足だけでなく視線も自由になる「アイズオフ」が実用化。これは自動運転レベル3に相当する機能で、いつでも運転に戻れる状態であること、という条件付きではあるものの、ドライバーが車内で動画などを楽しみながら走行することさえ可能となっています。
2023年4月1日からは、一定の条件下における自動運転のレベル4が認められる新制度がスタートする予定。ついに、運転席やステアリングがないクルマや、無人のクルマが走行する時代がやってきます。
事故のないクルマ社会の実現に向けて、どうしてもうっかりミスを犯す人間を技術でサポートするのか、完璧な技術に運転を任せるのか。安全運転の考え方もいま、大きな変革期に突入しているといえそうです。