社長のM3まで惜しみなく公開! 大阪の名門BMW専門店が手がけた「個人車4台」がハイレベルすぎる (2/2ページ)

細かいパーツまで徹底的にこだわる

 3台目はエストリルブルーのボディにゴールドのBBS RI-Aホイールが眩しい1995年式M3クーペ3.0こと、工場長のE36だ。DTMなどツーリングカーレースの全盛期を彷彿させるゴツめのフロントスポイラーに、ぐっと高さを抑えたBMWモータースポ―ツのクラスIリヤウイングが渋い。

 S50パワーユニットは、先のMロードスターと同じくオカダプロジェクツのプラズマダイレクトで点火系を強化し、駆動系はアルゴスのツインプレートクラッチで駆動レスポンスを高めているぐらいだが、排気系はエキゾーストマニホールドからクロスパイプ、リヤサイレンサーまですべてサクラム製で、当時流行った二重のテールパイプといい、官能性を高める方向性が窺える。

 シャシー関連では、ビルシュタイン・エナペタルの車高調キットにOS技研のストラットタワーバーという、懐かしくも効果的なメニューが奢られている。

 さらに内装に目を移すと、モモの握りの太いステアリングに、リンケージごとショートストローク化されたシフトレバー、さらにレカロのRS-Gがストイック。助手席はあえてノーマルシートのままで、この頃のM3のシートのヘッドレストは肩口まで覆いつつ上下に動くという、凝ったタイプだった。

 そして大トリはアルツモトーレンバウの社長が長年大事にしてきたという、1987年式のE30のM3だ。外からパッと見した限りでは、フロントスポイラーとリヤの可変式スポイラー、そしてシートベルトが当時505台のみ生産されたというM3スポーツエボリューション(?)、でもバンパーのアクセントラインが赤ではなく黒なので、あえて控えめなエレガント・スポーツ仕様という、ひとクセある仕上がりなのだ。

 直4の2.3リッターユニットは195馬力仕様で、前ヒンジのエンジンルーム内にはこれまた懐かしや、スパルコのアルミ製ストラットタワーバーが! また2本出しツインが軽く上向いたテールパイプが特徴的なDTM風のマフラーは、当時大ヒットしたスーパースプリントだ。

 鈍く光る鍛造アルミホイールは、その筋の名門だったTAN-EI-SYA製、ニーズのユーロクロスで、8J×17インチにヨコハマのS.ドライブ40扁平を履き、サスペンションには車高調キット、A.M.S.社のラリーターマック用を装着。

 ラグジュアリーでありながらスポーティなコクピットで、クラシックなバケットシートはレカロLX。ステアリングはアティベのインディアナポリスで、千鳥格子柄をあしらったオリジナルの内装の雰囲気を崩さず、スパルタンだがハイクラス感漂う仕上がりだ。

 純正チューンのハシリといえるM3クーペだからこそ、オリジナルとのマッチングを意識しすつ、しかし飽くことなくさらなるパフォーマンスの高みを追求している4台。そんな珠玉のヒストリック・チューンドMに同時に会えたのは、眼福そのものだった!


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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