日・独・伊・英の小粒でバカッ速「FF弾丸ハッチ」対決! パワーウエイトレシオで比べてみた!! (2/2ページ)

コンパクトボディにハイパワーエンジンのフィーリングは強烈!

 そんなドイツ代表をパワーウェイトレシオでも価格面でも蹴散らすのがイタリア代表、アバルト595だ。

 日本仕様のハイパフォーマンスグレードとなる「595コンペティツィオーネ」の価格は5速MTで467万円。1.4リッター4気筒エンジンは最高出力180馬力、最大トルク230Nmとなる。車両重量は1120kgなのでパワーウェイトレシオは、6.22となっている。

 基本設計はけっして新しいとはいえず、乗り味は荒々しさもあるが、それもまたアバルト595の魅力だ。

 真打はイギリス伝統のブランドMINIのハイパフォーマンスバージョン「JCW(ジョンクーパーワークス)」である。2リッター4気筒エンジンと8速ATでフロントを駆動するパワートレインはFFホットハッチの究極形。エンジンスペックは最高出力231馬力、最大トルク320Nmで車両重量は1290kgとなっているので、パワーウェイトレシオは驚異の5.58となっているのだ。

 もっとも、ミニJCWはお値段488万円で、実際に購入する際にはオプションによってどんどん価格が上がっていくことでも知られている。プロポーションやメカニズムはホットハッチ的ではあるが、フレンドリーな価格というわけではないのだった。

 ところで、ここまでの顔ぶれを見て「コンパクトなハッチバックボディでも4WDとすれば、もっとパワーウェイトレシオに優れたモデルもある」という指摘もあることだろう。たしかにトヨタGRヤリスやアウディSQ2といった4WDモデルであれば、よりパワフルなエンジン出力を受け止めることができている。

 今回、あえてFFにこだわったのは車両重量の面でも“小粒”であることを求めたからだ。

 ちなみに、FF世界最速を目指したホンダ・シビックタイプRは1430kgで330馬力だからパワーウェイトレシオは4.33となる。

 全幅1890mmのシビックタイプRは小粒とは言いがたいので今回の4選からは外したが、シャシー性能がしっかりしていれば、このくらい異次元のパワーウェイトレシオであってもFFでトラクションが確保できるのが現在の技術レベルである。その意味では、FFホットハッチの性能はまだまだ伸びしろがあるといえそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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