身長の低い子どもには自己防衛の有効手段
では、手を上げて横断歩道を渡る行為に意味はないのだろうか。
身長1m以下の子どもにおいては手を上げて横断歩道を渡ることは有効な自己防衛手段となる。だからこそ、長年にわたりこの標語が受け継がれているのだろう。
ご存じのように、クルマには死角がある。車体形状にもよるが近年のデザインは歩行者保護のためにボンネットが高くなっている。そのため前方の死角が大きくなりがちだ。そうなるとボンネットより背の低い幼児などをドライバーが認識できないこともある。
その対策として、子どもが手を上げて横断歩道を渡ることには大いに意味がある。背の低い子どもが死角に入っていたとしても手の先が見えることでドライバーがその存在を認識できるからだ。
子どもと交通事故といえば「魔の七歳」という言葉がある。
小学低学年の児童は交通事故にあいやすいので注意すべき、というわけだ。このくらいの年齢までは身長的に車両の死角で隠れてしまいやすいので「手を上げて横断歩道を渡る」ことを習慣づけておくのは、自己防衛として有効といえる。
もっとも子どもにだけ手を上げるようにいっても、幼児というのは大人の真似をしがちであり、大人が実行していなければ習慣づくこともないだろう。
子どもの安全を守るために、大人が率先して「手を上げて、左右を確認して横断歩道を渡る」という動作の見本を見せることには意味があるといえそうだ。