電動車の弱点は意外なところにあり!? 暑がりのライターが心配するEVの「エアコンの効き」はどうなるのか問題 (2/2ページ)

電動化するクルマの冷暖房能力が非常に気になる

 そのメカニズムから、どうしても純ICE(内燃エンジン)搭載車に比べると冷暖房能力に不満を持つ人も多いのがHEV。HEV(ハイブリッド車)ユーザーならば、必須装備ともいえるのがシートヒーターだ。トヨタでは、HEVで寒冷地仕様を選ぶとPTCヒーター(電熱線補助ヒーター)を採用して性能アップを図っているようだが、降雪地域などでなくてもPTCヒーターが欲しくて寒冷地仕様をメーカーオプション選択する人も多いと聞いている。

 東南アジアのタイでは過去に3代目トヨタ・プリウスを現地生産して販売していた。タイではタクシーはカローラセダンが圧倒的に多いのだが、HEVという当時では先進性のかなり高いプリウスをタクシーとして多数導入したのだが、年中高温多湿のタイでは「エアコンの効きが悪い」と利用者からのクレームも多く、そして実際に所有して使っているユーザーからも同様の問い合わせが多かったようで、あっけなく現地生産が終了したと聞いたことがある(いまでは当時より空調能力も向上し、タイでも新車ではHEVが多くラインアップされている)。

 そもそも純ICE搭載車でも、アメリカの南カリフォルニアに住んでいる日本人からは「日本車はエアコンの効きが悪い」といわれたことがある。初代クライスラー・ネオンには、ジープ・チェロキーと同じエアコンユニットが搭載されていると説明を受け、実際、酷暑の日にマニュアルエアコンの温度調節ダイヤルを一番寒くなるところに合わせて高速道路を走っていたら、空調ルーバーから白い冷気が出てきて驚いたことがある。

 小型車の多い日本車で、高温多湿の夏に都市部では渋滞も多い日本で故障なく走らせるために、そして早い時期からオートエアコンが当たり前のように装着され、きめ細かい調整にこだわる日本人に配慮がされた日本車のエアコンは、ある意味“効きが悪い”のかもしれない。ただ、軽自動車にエアコン、しかもオートエアコンまでもが標準装備できる技術力は、まさに日本メーカーでしかできないものともいわれている。

 このような“クルマの冷暖房”の話題は、当然ながら、いまどきはホットな話題となっているBEV(バッテリー電気自動車)にもあてはまる話。技術の進歩により、ICE車並みの冷暖房能力を環境負荷を少なく将来的には持つことができるのか、それとも「そもそも気候変動対策で車両の純電動化が進んでいるのだからある程度我慢しろ」となるのか、暑がりの筆者としては非常に気になるテーマだと感じている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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