13台のみが生産された貴重な206Sのスパイダー
その166Pと前後して、1966年には今回紹介するスポーツカーレース用の206Sにも進化を遂げることになる。
206Sに用意されたボディはクーペとスパイダーの2タイプ。今回RMサザビーズが、同社のパリ・オークションに出品したモデルは、画像からも明確にわかるとおり、わずかに13台が製作されたのみとされるスパイダー仕様の206S。
その流麗なボディデザインは、スポーツ・プロトタイプカーの330Pのスケールダウン版とも表現できるじつに魅力的なもの。
実際の製作はモデナのピエロ・ドロゴ率いる、カロッツェリア・スポーツカーズの手によって行われた。その核となるセミモノコックシャシーに、アルミとファイバーグラスを組み合わせたボディの性能も秀逸で、1966年シーズンに206Sはタルガフローリオで2位、ニュルブルクリンクで2位と3位、またスパでも6位という好成績を残している。
フェラーリの歴史家として知られるマルセル・マッシーニ氏の研究によると、出品車のシャシーナンバー032は、1966年から1967年にかけてイタリアのヒルクライムに参戦するなど、こちらも確かなレース履歴が残っているほか、2000年代にはフェラーリ・ヒストリック・チャレンジにも何回かエントリーした実績があるという。
そして、2014年にはフェラーリ・クラシケでフルレストアの作業を受け、いわゆるフェラーリからのお墨付きであるレッドブックも取得された由緒正しきモデルだ。
はたしてパリ・オークションで、このフェラーリの華やかなモータースポーツ・ヒストリーを彩ったディーノ206Sはどれだけの高値で落札されることになるのだろうか。それは世界中のフェラーリ・ファン、そしてクラシックカーの愛好家たちが熱い視線を注ぐところだ。