この記事をまとめると
■プロジェクト・マイバッハについて解説
■2021年に逝去したデザイナー、ヴァージル・アブローが遺したコンセプトカー
■現状マイバッハのカタログにはない2ドアクーペ
大胆なコラボレーションによって生まれたコンセプトカー
「より良い、より包括的な未来を想像するための異業種間の対話の力を、日々探求するインスピレーションを与えてくれたヴァージル・アブローに感謝しています」
これは、去る2021年11月に逝去した有名デザイナー、ヴァージル・アブローに向けたメルセデス・ベンツのステートメント。平たく言えば「ファッションデザイナーと一緒にデザインしたら、目新しいクルマできたよ、サンキュー!」みたいな意味でしょう。
アブローはご存じのとおり、黒人デザイナーとして初めてルイ・ヴィトンのメンズコレクションを担った人物で、じつは大のクルマ好きでした。出身はイリノイ州とのことですから、アーバンからカントリーロードまでドライブにはもってこいな土地柄。これまたクルマ好きで知られるカニエ・ウェストとも仲がいいので、やんちゃなクルマをブッ飛ばしていたとしても不思議ではありません。そんな彼が初めてメルセデス・ベンツとコラボレーションしたのは2020年のこと。ゲレンデヴァーゲンをベースに、F1テイストを盛り込んだ作品は、チャリティオークションで160万ドルの落札価格を呼び、大いに話題となりました。
これでメルセデス・ベンツのチーフ・デザイナー、ゴードン・ワグナー氏は「アブローとのコラボレーションは、我々のデザインワークを前進させる」と大喜び。すかさず第二弾が製作されたのですが、選ばれたメイクスはメルセデス・ベンツでなくマイバッハ! しかも、ゲレンデヴァーゲンのようにベースがあってのコスメティックチューンでなく、ゼロからデザインワークを始めるという大胆極まりないコラボレーションとなったのです。ゲレンデでコラボした折にも、アブローは「メルセデス・ベンツはラグジュアリーとパフォーマンスの象徴」とコメントしており、マイバッハもまたそんな象徴感たっぷりの出来栄えです。