バッテリー容量の拡大で未使用時の充電がデフォルトになった
一方、EVの場合は、床下に車載することは同じでも、そこは、プラットフォームとして走行性能や衝突安全性能に関わる要であり、それを全世界の自動車メーカーが共通化できるかどうかは疑問だ。国内メーカーだけを考えても、乗用車で8社ある。ただ、トヨタのように、マツダ、スバル、ダイハツ、スズキといった他メーカーと提携関係があれば、プラットフォームを共通化する道は探れるかもしれない。
共通化は、合理化につながり、原価低減に大きく役立つ。だが一方で、各社の独自性や独創性は制約を受けかねず、一致した意見に集約ができるかどうか、難しさがあるのではないか。
しかし、バッテリー交換が事業化されている地域もある。それは中国だ。ただし、バッテリーの共通化を含め、メーカー間での合意はまだなく、NIOなどが自社のEVに対して実施している。バッテリーが交換式となることでの利点として、消費者はバッテリー抜きでEVを購入し、それをバッテリー使用料と合わせて月々の使用料として支払う仕組みもできている。そのように、一社での取り組みとして新たな顧客を取り込もうとする考え方であれば、道が拓ける可能性がないわけではない。
たとえば、充電に関しても、米国のテスラは独自の方式で世界へ充電網を広げた。ただし、日本国内ではCHAdeMOにも適応させるため、コネクターを準備してきた経緯もある。
バッテリー交換の案は、1990年代に鉛酸バッテリーしかなかった時代に、かなり具体的な話になろうとした。一方で、リチウムイオンバッテリーが実用化し、車載バッテリー容量が30~40kWh以上、100kWh前後も備える時代となって、まず必要なのは自宅で充電する基礎充電であり、次に、目的地での普通充電で、それらの場合は、寝ていたり仕事をしていたりする間に、目的地までや帰宅のための充電は済んでしまう。
充電を、ガソリンスタンドの代替のように考えてしまうと、充電の本質を見落としてしまうのではないだろうか。また、普通充電は、リチウムイオンバッテリーの寿命を長くする効果も期待できる。