この記事をまとめると
■現在クルマの納期が大幅に遅延している
■受注を停止するモデルも少なくない
■今回はスポーツモデルの状況について解説
多くのモデルが受注を停止
今はクルマの納期が大幅に遅延している。通常なら、契約してから納車されるまでの期間は、在庫車でなくても1〜2カ月だ。それが今は半年を要する車種が増えた。1年待ちも珍しくない。その原因として新型コロナウイルスによる半導体の不足が挙げられるが、開発者は「塗装や樹脂なども滞っている」という。
そして納期が著しく延びると、受注を停止させることも多い。たとえば納期が2年に延びると、納車を待つ間にマイナーチェンジを行ったり、車種によってはフルモデルチェンジを実施することも考えられる。グレード構成や価格が決まっていない車種の受注はできないから、受注を停止せざるを得ない。
また発売直後のフェアレディZ、シビックタイプR、GRヤリス、ランドクルーザーなどは、販売店によると「2023年1月下旬時点で、受注を停止している」という。
日産の販売店にフェアレディZの販売状況を尋ねると、以下のように返答された。「受注は2022年7月に停止した。今後の納期のメドが立たず、受注をいただくと延びる一方だから、やむをえず受注を止めた。今のところ受注を再開する時期は分からない。仮に再開しても、短期間で納期が延びると思う」。
ホンダの販売店では、シビックタイプRについて以下のように述べた。「シビックタイプRは、納期が1年以上に延びて、受注を停止した。それでも購入を希望するお客様が多いため、販売店としては注文をいただいている。そしてメーカーに発注できるタイミングになると、順次注文を入れている。つまり受注の順番待ちをしている状態だ。仮に現時点で購入希望のお話をいただくと、納車されるのは2年以上先になると思う。正確な納期はわからない」。
これらの車種の納期が遅延する理由として、先に述べた半導体などの供給不足が挙げられるが、それだけではない。もともと日本仕様の生産規模が小さいことも原因だ。たとえばシビックの販売計画台数は、1カ月当たり400台に限られた。そこに供給不足も重なって納期が延びている。
ランドクルーザーは、価格の高い悪路向けのSUVとあって、販売の対象は中東諸国が中心だ。日本仕様の割り当ては、生産総数の10%以下になり、納期は発売直後から3〜4年とされた。フェアレディZなども同様で、コロナ禍による納期の遅延以前に、日本仕様の生産規模が小さすぎた。いい換えれば、コロナ禍が発生しなくても、長期の納車待ちに陥っていた可能性が高い。