この記事をまとめると
■現在のプリウスの販売台数は2010年の10%
■対してトヨタ車全体の国内販売台数は2010年の80%
■かつてのプリウスオーナーは何に乗り替えているのだろうか?
現在のプリウスの販売台数は3代目登場直後の10%
プリウスは現行型で5代目になるが、国内でもっとも多く販売されたのは3代目だった。2代目に比べてハイブリッドの機能を向上させ、価格は割安に抑え、取り扱いディーラーも2系列から全店扱いに移行させた。
その結果、3代目プリウスは、発売の翌年となる2010年に1カ月平均で約2万6000台を登録している。2022年の国内販売1位になったN-BOXが1カ月平均で約1万7000台だから、2010年のプリウスは猛烈に売られていた。
この勢いが4代目では下がり始め、発売の翌年となる2016年は、1カ月平均が約2万台となった。2019年はコロナ禍前だが約1万台に減り、2022年の1カ月平均は、販売中止も影響を与えて約2700台であった。
以上のようにプリウスの売れ行きを振り返ると、2016年は2010年の77%で、2019年は38%、2022年は10%まで下がった。
一方、トヨタの国内販売台数は、2010年は約156万5000台で、2022年は124万8000台だ。2022年はコロナ禍の影響で減ったが、2010年の80%だから、プリウスほどの大幅な減少ではない。
3代目プリウスが絶好調に売られた理由は、2010年当時のハイブリッドが、SAI、クラウン、エスティマ、ハリアーハイブリッドなどの高価格車を中心にしていたからだ。コンパクトで安価なアクア、カローラ、シエンタ、ノア&ヴォクシーなどのハイブリッドは登場しておらず、プリウスは割安なハイブリッドとして多くのユーザーに愛用された。
また2010年頃は、ハイブリッドが少数派だったために先進的な環境メカニズムとされ、環境対応を重視する企業はプリウスを社用車に使った。初代プリウスは世界初の量産ハイブリッド車で、ノーマルエンジンを用意しないから、環境技術の象徴的な存在として人気を一層盛り上げた。
ところが今は、売れ筋のコンパクトカー、SUV、ミニバンなど、大半のトヨタ車にハイブリッドが用意される。トヨタのハイブリッドは、普通のメカニズムとして大量に販売され、燃料消費量と二酸化炭素の排出抑制に多大な貢献をしている。つまりハイブリッドを普及させるプリウスの使命が大成功した結果、売れ行きが下がったわけだ。