ドアなしマシンはスパルタンさが輝く
ミニ・モーク
ジープといえば、ミニ・モークもまたジープに敬意を払って作られたドアなしモデルでした。が、志は高くイギリスの軍需採用を目指して設計されているので、採用しているメカニズムはわりとシリアス。歩兵装備、いわゆるデカめのバックパックや長尺ライフルなどを持った兵隊さんにとってドアがないほうがコンビニエンス。
ですが、実際に乗り降りしてみるとわかるのですが、モークは着座位置が低いのでわりかし大変です。このせいかどうかわかりませんが、残念ながらモークはイギリス軍に採用されることはありませんでした。
ケータハム・セブン
こちらもドアなしの代表格みたいなクルマ。簡素なビニール製ドア(というか風よけ)が付属してはいますが、デフォルトの姿とは言いづらい。スポーツカーかくありきといったスタイルで、じつにカッコいいのですが、これまたモーク同様に低い着座位置でもって乗り降りするのはひと苦労。
なにしろ、シートに座っていると地面でタバコの火をもみ消すことができるなんていわれてますからね。ただし、この低さが幸いしているので、バモスやフェローのように転落というのもしづらいかと。もっとも、セブンに乗ろうなんてドライバーはガチガチにハーネスを締め上げているはずですけどね。
ロータス 3-イレブン
ケータハムを出したら、本家ロータスのドアなしを紹介しないわけにはいきません。セブンと同じく、スパルタンなスポーツカーとしてリリースされた3-イレブンもまたドアのないオープンボディに、体を滑り込ませて乗車するタイプ。
ですが、セブンと違ってドライバーの周囲はしっかりボディが囲っていますので、よもや転落などということは起こりそうにありません。が、その分乗り降りの苦労はセブン以上なようで、動画を見ていてもドライバーの「よっこらしょ」的なうめき声が聞こえるものがあるくらい。いずれにしろ、ドアなしの系譜としてはレジャーというよりガチ勢に分類すべきモデルに違いありません。
スマート・クロスブレード
2001年に発表され、2002年には国内に限定25台で導入されたスマートの「ガチ勢」がこちらのクロスブレード。ドアなしどころか、フロントスクリーンや屋根までも省かれているのが潔い感じ。もっとも、転落防止バーのゴツめなやつがついていますので、バモスやフェローで悪ふざけをしたオッサン達からしたら「甘いな」となるかもしれません(笑)。
とはいえ、ここまでいろいろなものが省かれていると「作成途中のプラモ」的なルックスで、走っている姿もちょっとしたコメディムービーかのよう。ドアなし、屋根なし、フロントガラスなし、省エネもここまでくれば現代のSDGsを先取りしたかのようです。
BMW Z1
最後のドアなしはマクラーレン・エルバと迷ったのですが、あえてZ1をチョイスしてみました。さまざまなメディアでドアなし企画の常連として登場していますが、正確にはドアは上下にスライドするものが装備されています。ただ、これを下にスライドさせボディに格納してしまうと「ドアなし」での走行が可能となっているわけです。安全機能に厳しいドイツのTÜVがドアなし走行にOKを出したことには当時も驚かされました。
が、実車をよく知る人物にいわせると、このドアは「よく壊れた」そうです(笑)。で、BMWディーラーも苦労したようですが、いまはなき白金の崎山自動車はバッチリ直してくれたとのこと。中途半端なドアなし、これはこれで苦労するというエピソードでした。