この記事をまとめると
■昭和や平成の時代には中間グレードに装備を充実させたお買い得グレードが存在した
■平成後半から令和にかけては上級グレードが好まれて選ばれる傾向が目立っている
■「装備充実グレード」という表現がふさわしいのがいまどきの上級グレードとなっている
昭和・平成時代には装備を充実させたお買い得グレードがあった
昭和や平成前期あたりではまだまだ新車にも、“デラックス”、“GL”、“SE”といったような明確な装備格差のあった“グレード”が存在していた。そして、多くのモデルで量販グレードとなるのは、“お買い得グレード”ともいえる中間グレードであった。
ただ、これはお買い得グレードが“ベストチョイス”であることを必ずしも意味していなかったのも確か。自分の予算で希望車種の最上級グレードが買えれば、それこそが“買い得な買い物”というのは当たり前。しかし、明確な“ヒエラルキー”がグレード構成において存在していたころはなかなか最上級グレードを買えないケースがほとんど。そこで“折衷案”として、最上級グレードとそれほど見劣りしない程度に装備が充実していた中間グレードにニーズが集中していたのである。
昭和のころでも、トヨタ・クラウンならロイヤルサルーン、トヨタ・マークIIならグランデといった上級グレードが量販グレードとなっていた。“装備のバランスがよく買い得”として、マークIIでLGといった中間グレードを選ぶ人は少数であった。
そして、平成後半から令和にかけては、明確な装備差によるグレード構成というものが絶滅したとはいわないが、明らかに最上級グレードや上級グレード(または相当仕様)が好まれて選ばれる傾向が目立ってきている。
トヨタ・シエンタを例に説明しよう。シエンタには上級のZ、中間のG、廉価仕様のXがある。ただ、販売現場で聞くと圧倒的にZが選ばれていると聞く。
ともにハイブリッドで7人乗りとなるZとGにディスプレイオーディオのサイズを10.5インチタイプ、さらに前後方ドライブレコーダーをオプション選択し、Zに標準となるワンタッチスイッチ付きパワースライドドアをGにオプション選択し、さらにサイドバイザーとフロアマットを選んで試算した。