ジムニーの価値が広がったといえる
ホイールベースやボディを伸ばすということは、後席スペースやラゲッジスペースを大幅に拡大することが期待できる。インドの自動車市場は、今後ますます成長が期待できるが、やはりモータリゼーション普及期ということで広いキャビンの優先順位は高い。ジムニーといえども5ドアにしたファミリーカーにならざるを得ないということだ。
日本でのジムニーというのはショートボディゆえの走破性が評価されている部分がある。キャラクターは異なるが、ユーザーマインドとしてはストイックなスポーツカーに近い。そうしたユーザーからすると5ドアボディというのは軟弱に感じるかもしれない。
ロングホイールベースの5ドアになってもラダーフレーム構造を持つハードコアなクロカン4WDという素性の部分は不変であろう。後席が広くなったからといって、乗用車ベースのクロスオーバーSUVのような乗り心地に変身するとは考えづらい。
ハードコアなクロカン4WDというのはジムニーが初代から磨き続けている価値ゆえに軟弱になるほうがジムニーらしからぬともいえる。もっとも現行ジムニーが日本でウケているのは、そのスタイリングが持つキュートさが、新しいユーザーを獲得したという面もある。
5ドアジムニーがキュートなルックスという魅力を失っていないのは見てのとおり。5ドアジムニーが日本で発売されればヒットすること間違いなしといえるだろう。
もし5ドアジムニーがヒットしたとしても3ドアのジムニーに価値がないというわけではない。あくまでジムニーの魅力が拡大するということと理解すべきだ。少なくとも日本においては5ドアが登場したとしても、本来的なクロカン4WDというジムニー伝統の価値が揺るぐことはない。