この記事をまとめると
■グレード体系が一新されたボルボXC60リチャージ・アルティメットT6に試乗した
■2022年にエンジン、モーター、バッテリーのすべてに変更を受けたボルボのPHEV
■ボルボのPHEVは現状で最良の選択と思えるほどの完成度を有している
パワートレインを一新したボルボのPHEVに乗った
もはやほとんどピュアEV(以下、BEV)じゃん……。
ボルボXC60リチャージ・プラグインハイブリッド・アルティメットT6 AWDに試乗しての素直な感想にして、おそらくもっとも端的にクルマの性格を示してるだろう心の声、である。そしてその心の声は、「これって現状の最適解なんじゃないか?」というところに結びついていく。
すでにお伝えしているとおり、ボルボのプラグインハイブリッド(以下、PHEV)モデルは、2022年の頭にパワートレインに改良の手が入り、エンジン、モーター、バッテリーのすべてが一新されている。
さらっと説明すると、まずリチウムイオンバッテリーの電池容量が、従来の11.6kWhからおよそ60%増の18.8kWhとなった。おかげでEVモードでの航続距離ほぼ2倍ほどに延び、このXC60では81kmとされている。このPHEVモデルのAWDはフロントを内燃エンジンとモーター、リヤをモーターで駆動する仕組みだが、リヤ側のモーターの出力がおよそ65%高められ、145馬力/309Nmを発揮している。
また、2リッター4気筒の内燃エンジンは、従来型ではスーパーチャージャーが担っていた主として低回転域のトルクやレスポンスを、クランクインテグレーテッドスタータージェネレーター(以下、CISG)の出力を54馬力/160Nmへと増強することで肩代わりさせることとし、スーパーチャージャーを廃止した。
XC60に関しては従来のT8がなくなり、今回のT6がラインアップのトップとなった。内燃エンジンが253馬力/5500rpmと350Nm/2500-5000rpm、フロントモーターが71馬力/165Nm、リヤモーターが先述のとおり145馬力/309Nm。従来型のT8と較べると内燃エンジンの出力は低下しているが、前後のモーターが強力になったおかげで、システム総合出力は350馬力とおおよそ不満など感じることのなさそうなレベルをキープしている。
いや、実際のところ、不満などまったくなかった。力強さも、得られる速度も、滑らかさも、心地好さも、そして完成度の面でも、重箱の隅をつついてみたところで何ひとつウイークポイントらしいウイークポイントを見つけることができないくらい素晴らしかったのだ。