こんな楽しい乗りものを日本人が知らないままなのはもったいない! カワサキモータースジャパン桐野英子社長が「ニッチなオフロード4輪」の日本販売に踏み切った情熱 (2/2ページ)

ゼロエミッションも見据えた活動も

 カワサキのオフロード四輪車は、専用エンジンと遠心クラッチCVTというパワートレインを基本としている。そのため運転自体は非常に簡単だ。操作においてもバイクのように体重移動などを身につける必要はなく、丸いハンドルを切って、ABペダルを操作するだけ。悪路走破をレジャーとして捉えると、オフロードバイクよりずっとハードルは低く、怪我の心配も少ない。

 だからといって、無茶な運転をすると横転してしまうこともあるのがオフロード走行。カワサキモータースジャパンが正規販売するということは、安全な運転方法を啓蒙していくことが前提だ。もちろん、メーカー直系であるカワサキモータースジャパンの販売であるから、修理に必要なパーツ供給についても安心できる。当然ながら売りっぱなしになるはずもなく、メンテナンスについてのしっかりとしたフォローも準備しているという。

 カワサキのオフロード四輪車はATとはいえシフトポジションにP(パーキング)はなく、駐車時にはN(ニュートラル)が基本ポジションで、走行する際にはL(ローギヤ)とH(ハイギヤ)をシーンに合わせて適切に選ぶ必要がある。こうした部分のレクチャーをきちんとすることが安全にオフロード四輪車を走らせるためには必須。コクピットドリルについてもわかりやすいマニュアルを作るなどしているのはさすがだ。

 あらためて筆者が試乗した感想をまとめれば、カワサキのオフロード四輪車はエンジンを感じるモビリティであり、走りはダイレクトかつリニアリティ感にあふれるもの。つまり乗っていることが単純に楽しく、何とも似ていないファンビークルだった。オフロードバイクを四輪にして安定させたわけではなく、クロカン4WDの廉価版というわけでもない。

「オフロード四輪車」という、まったく異なる個性を持ったモビリティであった。

 特殊な例を除いて、ナンバーをつけることができず、クローズドコース限定の乗りものとなってしまうためオーナーを選ぶが、お金に超絶余裕があればコースを整備してドライビングを楽しみたいと心底思わせる魅力があるのも事実。桐野さんが「ぜひ日本の皆様に乗ってほしい」と願う気持ちは十分に理解できる。

 そうした強い思いをマーケットが受け止め、日本でもオフロード四輪車の市場は成立することを期待したい。

 ちなみに、トヨタやデンソー技術協力のもと、TERYXの水素エンジンバージョンも製作されている。ゼロエミッション時代にも趣味の乗りものとしてカワサキのオフロード四輪車は生き残ることだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
好きな有名人
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