この記事をまとめると
■大雪時に立ち往生してしまった際に気をつけるべきことを紹介
■排気ガスによる死亡事故が毎年起きているので注意が必要だ
■冬は車内に防寒グッズや雪から脱出するための道具を積んでおくと心強い
大雪時の敵は寒さよりも排気ガス
雪国ではワンシーズンに数回、大雪のため道路が通行止めになったり立ち往生することがある。そうした豪雪で身動きがとれなくなってしまったときは、どうしたらいいのか。
自力で動くことが困難になったら、迷わず救援を求めること。
道路緊急ダイヤル(#9910)か、JAF(#8139)、あるいは警察(110)に状況を説明し、SOSを発しよう。SOSを出したからといって、大雪のなかではなかなか救援にも来てもらえないかもしれないが、根気強く救援を待つしかない。
その救援を待つ間、一番気をつけなければならないのが「一酸化炭素中毒」だ。
吹雪のなかで止まっているクルマの全体が雪にすっぽり覆われるまで、それほど多くの時間はかからない。そうしたなか、暖をとるためにエンジンをかけっぱなしにしていると、マフラーの出口が雪で塞がれて、排気ガスが車内に流れてきて、一酸化炭素中毒のリスクが大きくなる。
そうしたリスクを防ぐには、エンジンを切った状態で、待機するのが基本。
雪道を走るときは、立ち往生になることを想定して、厚手の防寒着、シュラフ、ブランケット、使い捨てカイロ、新聞紙(肌着の上に新聞紙を巻くとかなり温かい)などを是非とも常備しておこう。どうしてもエンジンをかけてヒーターを入れたくなったら、マフラーの出口周辺を除雪したうえで、エンジンをかけっぱなしにしないこと。
JAFの実験では、エンジンをかけた状態で、マフラーの周辺とボンネット上にある外気の取り込み口が雪でふさがれてしまうと、車内の一酸化炭素濃度はわずか20分ほどで「3時間で死亡する危険な値」に達することがわかっている。
クルマが雪にすっぽり覆われると、一種の雪洞(カマクラ)のような状態になり、車内の温度は外気ほど低下しなくなるので、寒さ対策よりも一酸化炭素中毒対策を優先すること。エンジンをかける必要があるのなら、マフラー付近の小まめな除雪は欠かせない。
エンジンをかけたまま、うっかり寝てしまったりすると文字どおり命取りになることに!
エンジンを止めていたとしても、できればときどき風下側の窓を1cmぐらい開けて換気しておくのがベスト。
また脱出に備えて、風下側のドアが開くかどうか定期的にチェックしておくのも肝心だ。上掲の防寒グッズのほかにも、長靴、手袋、スコップ、牽引ロープ、スマホの充電器、携帯トイレ、飲み物や軽食なども用意しておくようにしたい。
しかし、もっとも重要なのは、出かける前にあらかじめ天気予報を確認し、大雪が予想されるときはクルマでの移動を断念すること。多くの場合、半日から1日予定をずらせば立ち往生にも巻き込まれずに済むし豪雪で身動きできなくなるリスクも回避できるはず。「急がば回れ」と言うとおり、ときに命にも関わる問題なので、大雪とケンカしないで済むことを最優先で考えよう。