装着位置は放熱性と重量バランスによって決まる!
さて、量産車のブレーキシステムだが、ホイールの中にすっぽりと収まり、さらにそのタイヤとホイールはホイールハウス内に位置することになる。この場合、ブレーキから見た問題点は、走行中のホイールハウス内の空気流がどうなっているかで、流れる空気量が多い位置、空気の流れが速い位置ほど放熱性に優れることになる。つまり、この位置にブレーキキャリパーを装着すれば、より高い制動能力が得られることになる。
重量の問題もある。キャリパーとパッドの重量は、決して軽くはなく、高性能ブレーキで4ポッド、あるいは6ポッドとマルチポッドタイプになると、キャリパー自体の重量(当然軽量化対策としてアルミ合金製となるが)も見過ごせない数値となる。これをフロントは前側、リヤは後ろ側に装着した場合と、フロントは後ろ側、リヤは前側に装着した場合とでは、重量バランスが違ってくる。当然、重量物はより車体の中央近くに配置するのが理想で、このブレーキキャリパーの例で言えば、後者の場合となる。
わかりやすいのは、究極のブレーキ性能が要求され、ホイールハウスを持たないレーシングカー、フォーミュラマシン。それを例に見ると一目瞭然だ。フロントキャリパーは後ろ側、リヤキャリパーは前側に装着されている例がほとんどといってよい。タイヤ/ホイールが剥き出しで、キャリパーの放熱性に関しては問題がない。とすれば、より重量バランスに優れる位置に装着されるのが常識的だ。
ブレーキキャリパーの装着位置は、放熱性、重量バランス、この2点によって決まってくると言ってよいだろう。