ジムニーやアルトなどでヒット連発のスズキにだって苦手なジャンルが!? スズキの普通乗用車セダンは苦難の連続だった (2/2ページ)

もっとも最近のスズキのセダンは警察車両としても有名

・エリオセダン(2001〜2007年)

 ボディサイズ:全長4350mm×全幅1690mm×全高1545mm

 失礼ながらスズキファン以外に車名を聞いても思い出せない方が多いと思われるエリオ。エリオはカルタスクレセントの後継モデルとして2001年にデビュー。5ドアハッチバックが先に登場し、その後にセダンが追加されました。

 ハッチバックはミニワゴン的なフォルムを備えていましたが、セダンは“らしい”オーソドックスな3ボックススタイルを採用。ただ、5ドアハッチバックをベースにしただけあり、ややずんぐりした見た目になりました。

 ハッチバック、セダンともにパワーユニットは1.5Lリッターエンジンのみを用意。可変バルブタイミング機構を備えた1.5リッターエンジンは、最高出力110馬力を発揮。5速MTと4速ATが組み合わされています。

 ただ、2003年のマイナーチェンジで1.8リッターエンジンを追加。この1.8リッター搭載車は、ボディにフェンダーモールを採用したことなどによって全幅が1700mmを超え、3ナンバーサイズとなりました。

 機能や装備が充実しつつリーズナブルな価格を売りにしたエリオでしたが販売は成功せず、2007年に販売を終了。1代限りのモデルになってしまいました。

・SX4セダン(2007〜2014年)

 ボディサイズ:全長4490mm×全幅1730mm×全高1545mm

 SUVが人気を集めつつあった2006年、エリオの後継モデルとして登場したのがSX4でした。デビュー時は高めの最低地上高を備えた5ドアハッチバックのみをラインアップしていましたが、2007年にセダンを追加しています。

 2代目スイフトをベースに開発されたSX4のハッチバックはワイドな全幅や4WDを備えるSUVらしいモデルでしたが、セダンの駆動方式はFFのみ。パワーユニットもハッチバックが設定していた2リッターエンジンは搭載されませんでした。ただ、ハッチバックをベースにしつつも、イタルデザインが手掛けたエクステリアは、オーソドックスながらもエリオセダンのようなずんぐり感はおさえられていました。

 SX4はSUVブームにうまく乗ったことでまずまずの販売を記録しましたが、セダンは人気を得ることができず2014年に販売を終了。後継モデルとして2015年にSX4 S-CROSSが登場しましたが、同車にはセダンがラインアップされませんでした。

・キザシ(2009〜2015年)

 ボディサイズ:全長4650mm×全幅1820mm×全高1480mm

 スズキ初となるミドルクラスセダンとして2009年に登場したキザシ。欧州市場をターゲットにしたことで全幅は1820mmとワイドボディを採用しました。キザシは2009年にデビューしましたが、驚くのが完全受注生産で販売されていたこと。販売開始当時はすでに国内でのセダン離れが加速していた時期ではありましたが、それでも完全受注生産だったことは驚きです。

 キザシに搭載されるパワーユニットは2.4リッター直4。エスクードに搭載されていたものでしたが、実用面などを重視した改良が施されています。国内仕様にはCVTが組み合わされました。

 エクステリアはワイドな全幅を備えたことでなかなかスタイリッシュ。セダン好きにとって魅力を感じるフォルムだったことは確かです。ただ、キザシと聞いて自動車ユーザーがイメージするのは乗用車としてではなく警察車両としてのそれ。捜査車両や覆面パトカーとして数多くの車両が導入されたキザシは、ある種、天敵として捉えられた車両でもありました。

 そんなキザシは2015年に生産終了。総販売台数のうち約30%が警察車両となっています。

まとめ

 数は多くありませんがセダンの販売を行ってきたスズキ。改めて振り返ると、どの車種も販売的に成功しなかったことで地味な存在です。ただ、警察車両として数多く利用されてきたキザシは別。

 良いか悪いかは別として、自動車ユーザーを「ドキっ」とさせるセダンとして、ある意味、存在感が高いセダンであることは間違いありません。


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