付加価値の付与で需要を呼び起こし中古車市場での価値も維持
いまの若い人達は、商品を購入するより毎月お金を支払って利用する方法に慣れている。出費を検討するときも「価格がいくらなら購入できるか」ではなく「毎月いくらなら支払えるか」と考えることが多い。そこで若年層の需要を掘り起こすため、メーカーもサブスクリプションに乗り出した。
そして、サブスクリプションの魅力をさらに高め、話題性を盛り上げるため、一般の販売店では扱わない専用の特別仕様車も用意するわけだ。
また、サブスクリプション車両に付加価値を加えると、リース期間を終えた車両の中古車市場における流通価値も高まる。リース車両はユーザーが買い取らず、返却が基本だから、なるべく価値を高めたい。そこで専用の特別仕様車を用意する。
サブスクリプション専用の特別仕様車に問題はないが、トヨタのKINTOは、販売店の購入に比べて納期が大幅に短い。トヨタの販売店は以下のようにコメントした。「ノアとヴォクシーの納期は、ノーマルエンジンが約8カ月、ハイブリッドは約1年を要する。ところがKINTOを利用すると、契約して1カ月半から2カ月で車両が届く。KINTOはリースだから購入とは異なるが、ここまで納期に差が付くと不公平に思える」。
トヨタは前述のとおり、KINTOの利用者を増やしたい。そこで販売店とは車両の需給方法を変えて、納期の短縮に乗り出した。納期の遅延をKINTOの普及に利用するわけだ。ここまでやると、販売店のコメントにあったとおり、行き過ぎの印象が強まる。同じトヨタ車を使うのだから、販売でもリースでも、公平に対応すべきだ。そこを怠ると顧客満足度を下げてしまう。