PHEVもMHEVも進化を果たした2023年のボルボ
もうひとつ全車に共通するのは、先んじてXC60から導入されていたGoogle搭載の新インフォテインメントシステムが標準で備わったことだ。メーターパネルと連携したGoogleマップによるナビゲーション、Googleアシスタントによる音声操作、さらに各種アプリケーションを使えるGoogleアプリ/サービスが利用できるようになった。もちろん緊急通報サービスや故障通報サービスなどと連携する“ボルボ・カーズ・アプリ”も利用可能だ。
また、XC40に関してはマイナーチェンジが行われ、デビュー以来初となるフェイスリフトが行われている。ラインアップにも変更があり、PHEVが廃止となって、代わりにBEVの“XC40リチャージ”が加わった。基本的にはC40リチャージと同じパワートレインを使い、スペックがわずかに異なるところもあるが、C40リチャージ同様に前輪駆動の1モーター仕様と全輪駆動の2モーター仕様が用意されている。
パワートレインについては、MHEVモデルの2リッターユニットに変更があった。型式や排気量などは代わらないものの、あらたにミラーサイクルエンジンとなってるのだ。可変バルブタイミング機構の採用、圧縮比アップ、エンジンの回転数に応じて排気の流速をコントロールするバリアブルノズルタービンの採用など、各部の効率化を図っている。また、これに組み合わせられるトランスミッションも、トルコン式8速ATから7速DCTへと変更されている。
そしてPHEVモデル。じつは2022年の頭にパワートレインの改良が行われてるのだが、意外やご存じない方が少なくないのでお伝えしておこう。ひとことでいうなら、エンジン、モーター、バッテリーのすべてが一新されてるのだ。
バッテリーは充電容量が従来から約60%増となる18.8kWhとなっていて、モデルによって異なるが、EV航続距離が最長で約70〜90kmと、従来型のほぼ倍ほどに伸びている。リヤモーターも107kWと、約65%も出力がアップしている。2リッターユニットも従来のスーパーチャージャーをやめ、組み合わせられるCISG(クランクインテグレーテッドスタータージェネレーター)の出力を54馬力/160Nmへと向上させることで、低回転域でのトルクやレスポンスを補っている。
こうしていずれ廃止となるEV以外のパワートレインにも細かく手を入れてる辺り、ボルボのまじめさがわかろうというもの。じつはMHEVモデル、PHEVモデルに試乗をする機会があってどちらにも感銘を受けたのだけど、この先を続けると絵巻物レベルの長さになってしまうので、そちらは続編でとさせていただきたい。