この記事をまとめると
■現在は納車時に面倒な手続きもあるため、ほとんどが店頭納車となっている
■納車は車両を受け取るだけでなく、傷の確認も忘れないように実施したい
■新車の納車はイベントではなく手続きであることを意識しておきたい
納車時にはやるべきことがいっぱいある
2023年、令和5年がスタートした。昭和から平成、そして令和となったいまでも、新車販売現場では昭和の時代から受け継がれている慣習とも呼べるものがある、それが「大安納車」である。暦での大安を優先して平日の大安の日に納車ならばまだいいのだが、これが土曜日や日曜日に重なると1日中納車に追われるセールススタッフも出てくるほど大安納車は令和のいまでもポピュラーなものとなっている。
新車販売の世界は売る側も買う側も「げん」を担ぐことが多い。過去に、店頭でなくお客の自宅や職場などへ新車を持ち込んで納車していた時代には、店舗から自分の家に来る際のアプローチ(どの道を通ってくるかや方角など)を指定されたり、新車を持っていくと各タイヤのところに塩を盛って清めたりなどといったことが行われるのは、そんなに珍しくなかったとのことであった。また、納車の際にお客から心づけ(チップ)や、お祝いの品物をセールススタッフが受け取ることもよくあったと聞いている。
令和の世の中になると、圧倒的と言うか、ほぼ店頭納車一択となっている。まず、昭和のころに比べると店舗スタッフの数がギリギリか足りない状況となっており、それぞれのお客のところへ新車を持っていく、つまり店を離れることができないことがある。また、自宅などへ新車を届ける納車費用のカットが当たり前となっていることも大きい。さらには納車時の面倒な手続きがある。納車というのは単に新車を受け取るだけのものではない。当該車両が注文した内容となっているのか、車検証表記に間違いがないかなどをしっかり確認するれっきとした手続きなのである。
さらに、納車時に署名する書類も多くなっている。「納車時にセールススタッフはしっかり説明したか」や、「車両は注文したものだったか」といったものである。これらの書類もペーパーレス化が進んでいるディーラーでは電子署名となるので(店内でしかWi-Fiを受信できない特別な端末なケースもある)、それもあっていまは店頭納車が当たり前となっているのである。
ディーラーによっては納車室なるものが用意されていたり、店長からの花束や記念品の贈呈など、イベント色を強めているケースもあるが、とくに気をつけたいのが車両の傷の有無である。新車に傷があるのは当たり前などと過去には言われていた。工場でラインオフしたあと保護シートで一部が覆われることもあるが、木箱に入ってディーラーに届くわけではない。
ただでさえ納車となると購入した側はテンションが高いので、傷があっても見逃しがちとなってしまう。一度店舗を出てしまったあとに傷を発見しても、納車前から傷があった、なかったの堂々めぐりとなってしまうので、納車時の傷確認は慎重に行ってもらいたい。