この記事をまとめると
■ラゲッジにはポピュラーな上開き、左右開きのほか上下に分割して開くモノがある
■SUVによく採用されており、アウトドアのシーンでは机や椅子になるので重宝される
■荷物の取り出しが若干不便であったりコストが掛かるので車両価格が高めになりがちだ
アウトドアの強い味方! 上下2分割ラゲッジの歴史
現在ではレンジローバーやロールス・ロイス・カリナンなど、英国プレミアムブランドのSUVぐらいにしか採用例がないのが、上下2分割のリヤゲートだ。ゆえに英国伝統の様式と思っている人がいるかもしれないが、歴史を遡ればそうではない。
そもそもSUVのパイオニアの1台と言われている1960年代の初代フォード・ブロンコが上下2分割だったし、それ以前からシボレー・ベルエア・ノマドやシトロエンDS/IDブレークなどのステーションワゴンに採用例はあった。
その後リヤウインドウを電動で上下させるタイプが人気となり、多くのステーションワゴンや2代目ブロンコはこの方式を採用。ところがブロンコのライバルとして生まれたシボレー・ブレイザーは逆で、初代が電動リヤウインドウだったのに対し、2代目以降は上下2分割になった。
最初に紹介したレンジローバーは初代から一貫して上下2分割。ランドローバー・ディスカバリーも途中から同様になり、最新型はゲートを一体式にしつつ、内側に下開きのボードを内蔵している。
BMWのX5/X7のリヤゲートが上下2分割なのは、ランドローバーを傘下に置いていたときに初代X5が生まれたことが関係しているだろう。
似たようなつながりを感じるのが、いずれも初代の三菱アウトランダーとプジョー3008。三菱とPSAが業務提携を結んでいる最中に誕生しているからだ。
変わったところでは日産のパイクカーのうち、パオとラシーンが上下2分割だった。SUV以外ではホンダのスポーツシビック、スマート・フォーツークーペの3世代もそうだった。探してみるとけっこうあるものだ。
日本車の上下2分割リヤゲートでいちばんポピュラーなのは、トヨタ・ランドクルーザーのステーションワゴンだろう。60系から200系まで、約40年にわたりこのスタイルを用意してきたのだから。200系と基本設計を共有する先代レクサスLXも同様だった。
上下2分割のメリットは、小さくて軽い荷物は上側を開けるだけで出し入れできるので、狭い場所でもアクセスできることや、開けたときに上側は屋根、下はイスやテーブルとして活用できることなどがある。とくに後者はキャンプなどでありがたい。
ただ逆に、奥にある荷物を取り出すときは不便だし、パネルが2枚、ヒンジが2か所になるので、1枚モノに比べれば当然コストは上昇する。
上下2分割に似た機能を持つスタイルとして、ガラスハッチ内蔵リヤゲートもあるが、こちらも採用例が減りつつある。なのでレンジローバーとロールスロイスぐらいにしか残っていないのかもしれないが、オートキャンプやバンライフとは相性がいいはず。もっと注目されていいボディ形状ではないかと思っている。