ミラージュの歴史はホットハッチの歴史でもある
続く3代目は1987年10月に登場し、ボディラインアップは3ドアハッチバックと4ドアセダンへと簡素化。ホットモデルには後のモデルにも使用された「サイボーグ」というグレード名称がつけられ、ギャランGTO以来、久々のツインカムエンジンとなる1.6リッターエンジン(NAとターボを設定)が搭載されていた。
また、珍車の話題となると必ずと言っていいほど話題に挙がる、リヤのウインドウをパネルとし、2シーター化した「ザイビクス(XYVYX)」が存在したのもこの世代。このザイビクスの後部はオーナーが自由に仕立てる空間としてユーザーにカスタムを委ねていたのだが、さすがに先進的すぎたのか早々に姿を消してしまった。
1991年10月には4代目に進化したミラージュ。今回は新たに2ドアクーペの「ミラージュアスティ」がラインアップに加わった(1993年5月追加)ほか、バブル期の車両ということもあってか、世界最小の1.6リッターV6エンジンを搭載するグレードも存在していた。
ホッテストモデルのサイボーグは1992年10月に登場し、エンジンは可変バルブタイミング・リフト機構を採用したMIVECを採用した1.6リッターのNAエンジンとなり、最高出力は175馬力を発生した。
そして1995年10月には5代目へとフルモデルチェンジ。今回はバルブ崩壊の影響もあってかデザインも含めキープコンセプトとなっており、プラットフォームを共有するランサーとの兄弟車関係が一層強まった。
1997年7月には当時流行していたレトロ調のスタイルを纏った「モダーク」が追加されたほか、1999年1月には「ミラージュディンゴ」という名のトールワゴンが登場しているが、このディンゴはミラージュの名前を冠していながら5代目ミラージュとは異なるプラットフォームを使った新規車種となっていた。
5代目ミラージュは2000年に終売となり、コンパクトハッチバックとしてあとを継いだのは2002年に登場したコルトとなり、ミラージュの名前は2012年8月から販売がスタートした6代目の登場まで待つこととなる。
この6代目ミラージュは、過去のミラージュよりもさらにコンパクトなAセグメントに当たる車種となっており、当初はリッターカーとして登場。生産国もタイとなり、徹底したコスト管理によって低価格なエントリーカーとして“キャラ変”をしていた。
登場後は1.2リッターモデルを追加したり、フロントマスクを何度か変更し、2020年4月にはファミリーフェイスのダイナミックシールドを備えたものにしたりなどテコ入れを図っていたが、並み居るライバルには一歩及ばず、法規制への対応が難しくなったこのタイミングで終売ということになってしまった。
実際のところ、乗ってみると決して悪いモデルではなかったが、さすがに登場から10年が経過して商品力がライバルに及ばなくなってきたことや、そもそもミラージュ=ホットハッチというイメージが強かったこともあって、エントリーカーとなってしまった6代目は苦戦を強いられる結果となったのもまた事実。
もし、再びミラージュの名前が復活するとしたら、往年のファンがニンマリしてしまうようなホットモデルも用意しておいてもらいたいところである。