ホイールアーチの塗装はもっとも苦労したポイント
――フロントライトは某輸入車に似ているなんて声もありますが(笑)、何か具体的なモチーフがあったのですか?
「弊社のデザイン本部長が『デザインパーソナリティ』と表現しているのですが、デザインに当たってそのクルマがどういうキャラクターなのかをしっかり決めることが大切だと。とくに軽自動車のメインユーザーである女性は、目や口などクルマを擬人化することが多いんですね。そこで今回は「ヤンチャ坊主」という設定で、あのランプは小学生の男の子をイメージしたんです」
――アッパーグリルの格子パターンは、やはりかつてのデリカをモチーフとしたのですか?
「はい。ただ、そのままコピーで持ってきたということではなく、そこはかとなく感じるイメージと考えています。バンパーガードも同じで、今回はメッキではなく、よりシックなイメージとして濃いシルバーとしました」
――ホイールアーチのブラックは、よく見ると樹脂パネルではなく塗装なんですね。
「じつはそこがイチバン大変だったところで(笑)。通常、何もガイドのない板金面に色を塗るのはタブーで、技術的にも困難でした。本当はパネルを貼ってしまえばラクなんですが、軽規格内ではとても無理。また、原着のザラついた素材感は女性ユーザーに評判が悪く、やはりここは光沢のある塗装だろうと」
――淡いグリーンのボディカラーは新色ですか?
「はい。アッシュグリーンメタリックといいますが、グレイッシュで彩度を落としたグリーンですね。ひと昔前のアウトドアグッズはオレンジなど自然のなかで映えるビビッドな色が主流でしたが、いまは普段使いでも馴染むような使いやすい色が好まれています。少しくすんだ色が逆にオシャレかなと思っています」
――単なるアースカラーとも違う清々しい色ですね。本日はありがとうございました。