この記事をまとめると
■自動車各社がハイブリッドモデルを展開している
■システムの内容はメーカーやクルマによって異なる
■この記事ではそれぞれのハイブリッドシステムの仕組みを解説
ハイブリッドシステムの仕組みをいま一度整理
世界初の量産ハイブリッド専用車としてトヨタ・プリウスがデビューしてから四半世紀以上が経った。しかし、ゼロエミッションやカーボンニュートラルといったムーブメントのなかで、もはやハイブリッドカーは新しいパワートレインのクルマではなく、過去のクルマとなりつつある。
一方で、製造時のCO2排出量まで考えると、「2020年代の最適解はハイブリッドにあり」と主張するモータージャーナリストやクルマ好きは少なくない。
もし、あなたがハイブリッド推しのクルマ好きならば、ハイブリッドカーの仕組みについてサッと説明できることだろう。そのように現在のクルマ好きにとっては常識ともいえるハイブリッドカーの仕組みについて、あらためて整理してみよう。
「ハイブリッドカー」というのは複数の動力源を組み合わせたパワートレインによって走行するクルマを指す。エンジンとゴム動力の組み合わせ、人力と風力の組み合わせでも広義にはハイブリッドカーといえる。ただし、量産されているハイブリッドカーというのは電気モーターと内燃機関の組み合わせが圧倒的な多数派だ。
そのため、ハイブリッドカーはHEV(ハイブリッド・エレクトリック・ビークル)という略称で呼ばれることが多い。
さらに、グローバルな自動車記事に目を通しているとMHEVという表記を見かけることも多い。これはマイルドハイブリッドの略称である。かつては、その対義語としてフルハイブリッド、ストロングハイブリッドという表現もあったが、最近ではフルハイブリッドもしくはストロングハイブリッドのことはHEVとして、マイルドハイブリッドをMHEVと表記することが増えている。
ちなみに、外部充電に対応したプラグインハイブリッドカーについてはPHEVという略称を使うことが一般的だ。いずれにしても、“EV”という文字が入っていることからMHEVまで含めて「電動車両」と分類しているメーカーもあるようだが、若干ひとりよがりな印象もある。
もっとも簡易的なハイブリッドシステムである、MHEVについては大きくふたつの仕組みが存在する。主流となっているのはISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を用いたもので、減速エネルギーを少しだけ回収、発進時などにそのエネルギーを使ってアシスト可能というものだ。スズキが軽自動車に採用しているハイブリッドシステムが、こうした方式の典型的なものといえる。
もう少し上級のマイルドハイブリッドとしては、メルセデスが採用しているシステムがある。メカニズムとしては、薄型モーターをエンジンとトランスミッションの間に配して、減速エネルギーの回収・発進・加速のアシストを行なうというもので、かつてホンダが広く展開していた「IMA」システムに似た構造となっている。
後者についてはHEVと分類されることもあるが、モーターだけで走行できるシチュエーションがほとんどなく、実質的にモーターはエンジンのアシストとして機能することを考えると、マイルド型と分類していい。つまり、MHEVはISGタイプを主流としつつ異なるタイプも存在していると認識できる。