大雪による立ち往生! エンジン車とEVではどちらが安心かは複雑な問題だった (2/2ページ)

EVはシートヒーターのみを使うことで消費電力を抑えられる

 気温などの条件にもよるので一概には言えないが、凍死のリスクと一酸化炭素中毒のリスク、どちらを重視するかでEVとエンジン車のメリットとデメリットは真逆になる。

 なおEVの場合、暖房によって消費電力が増えるのは事実だが、いつ助けが来るかがわからず、命をつなぐことを優先すべき状況であればシートヒーターだけを使うほうが消費電力を抑えることができるので、おすすめだ。

 運転時に厚着をするのはおすすめできないが、冬場のドライブでは万が一に備えてコートなどはトランクにしまわずに後席などに置いておくといいだろう。シートヒーターをオンにして、厚着になっておけば体温を維持しやすいからだ。

 窓ガラスが大きいこともあって、一般にクルマのキャビンは断熱性に優れているとはいえないが、雪や風がしのげるぶんだけ最低限の暖をとることができれば生存確率を上げることが期待できる。

 エンジン車においては、前述したように一酸化炭素中毒のリスクを抑えるためにはエンジンを切るべきだが、もし一晩中エンジンをかけて暖房を使うためには、どの程度の燃料が入っていればいいのだろうか。

 アイドリングで消費する燃料については、排気量によって異なるので一概にはいえないが、一般論として2000cc級のガソリンエンジン車であれば、1時間のアイドリングでおおよそ800ccのガソリンを消費するといわれている。

 ここから計算すると一晩を8時間として6~7リットル程度のガソリンがあればエンジンをアイドリングし続けることは可能だ。寒さによるアイドルアップや、ヒーター使用による電力消費(オルタネーターの負担)を考慮しても、タンクに8リットル程度残っていれば、エンジンをかけ続けることができるというわけだ。

 EVであればバッテリー残量がかなり残っていないと不安だが、エンジン車であれば残量が心もとない状況であってもなんとか一晩は過ごせそうだ。この点はエンジン車の安心感が圧倒的といえる。

 なお、オルタネーターやバッテリーが弱っていると、極寒の中ではアイドリングを維持できない可能性もある。とくに古いクルマでは、日ごろのメンテナンスが重要なのは言うまでもない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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