大容量のバッテリーを積んでるのになぜ? ハイブリッド車がガソリン車と同じ「12Vバッテリー」も搭載する理由 (2/2ページ)

補機用バッテリーはHV専用のものを使わなければならない

 バッテリー上がりの対策は、内燃機関車と同じく、バッテリー充電器を使ってバッテリーに充電する、ブースターケーブルを使って他車から救援してもらう、などの方法があるが、バッテリーがダメになってしまった場合は、ひとつ注意が必要だ。

 というのは、補機用バッテリーの搭載位置を確認すればよく分かるが、トランクルーム内やリヤシート下部など、通風が悪い位置、あるいは密閉に近い状態で搭載される例がほとんどである。しかし、鉛酸電池は、充電中に水素ガスが発生するため、HV専用バッテリーには水素ガスを大気中に逃がす専用ホース(チューブ)が設けられている。通常の内燃機関用バッテリーではこの機構がなく、容量、サイズなどの規格が同一であるからといって通常のバッテリーをHV車で使うことは、非常に危険な行為となってしまう。HV用バッテリーには、水素ガス放出機構のついた専用バッテリーを使わなければならない。

 では、走行用バッテリーが劣化するとどうなるか。メーカーの保証規定は、5年間または10万km走行の場合が多く、ある意味、バッテリー寿命限界のひとつの目安と考えてもよいが、実際に走行用バッテリーが劣化してくると、燃費が悪くなったり、劣化が進むと発進加速、追い越し加速が悪くなったり、登坂時にパワー不足を感じるようになる。また、バッテリーの所期仕様に変化(低下)が生じるため、HVシステムの警告機能(警告灯の点灯など)が作動するケースもある。

 確実に燃費が悪くなったと判断できるケースは、バッテリーが所期の性能から低下しつつあることを表す症状で、加速性能や登坂性能が落ちていると感じられるケースは、すでにバッテリーの電圧が低下している場合が多く、交換が必要となる場合が多い。こうした症状が感じられた場合、とりあえずメーカー系の整備工場に相談してみることをお勧めしたい。点検した上で、バッテリーを交換するか、あるいは車両の買い替えを検討するかは、それぞれユーザーの事情によって異なってくるので何とも言えないが、ニッケル水素、あるいはリチウムイオンによる走行用バッテリーには寿命があり、かなり高価なパーツになるため、対応策は慎重に考えたほうがよいだろう。


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