この記事をまとめると
■BMWが「CES2023」で次世代モデルの試金石となるコンセプトカー「i Vision Dee」を公開した
■フロントウインドウ全幅を使用するヘッドアップディスプレイやステアリングのタッチポイントなど未来感が満載
■BMW i Vision Deeは次世代BMWの「デジタル」の側面を表現したモデルとなっている
BMWがCESで初公開したハイテックなコンセプトモデル
ラスベガスで開催される世界最大級の家電の見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー（CES）」。近年は、多くの自動車メーカーがこのショーにブースを出展しており、自慢の最新テクノロジーを搭載したコンセプトカーや市販モデルをワールドプレミアする場となっていることでも注目されている。
そんな「CES2023」にて、BMWが1台のコンセプトカーを公開した。このBMW i Vision Deeは、未来のデジタル体験のビジョンをクルマとドライバーで共有する先進のミッドサイズセダンとなっている。車名の「Dee」とは、「Digital Emotional Experience」の頭文字をとったもので、文字通りデジタルによる感動的な体験を提供してくれる。
BMW i Vision Deeのデジタル機能のハイライトが、先進のヘッドアップディスプレイと連携して車両のセントラルコントロールを実現する「BMW Mixed Reality Slider」だ。ドライバーは、ダッシュボードに設置された「シャイテック」センサーを使ってヘッドアップディスプレイにどの程度のデジタルコンテンツを表示するかを決めることができる。表示するコンテンツは、運転関連情報や通信システムの内容、拡張現実の投影、そして仮想世界へのアクセスなど、5つのステップが用意されている。BMW i Vision Deeでは、さまざまな感覚に働きかける没入型の方法で複合現実（Mixed Reality）を体験することができ、これまでにない新次元のドライビングプレジャーを堪能することが可能になっている。
BMW i Vision Deeが新時代のデジタル体験を提供するうえで欠かすことのできない要素のひとつになっているのが、ヘッドアップディスプレイだ。BMWはヘッドアップディスプレイの先駆者として、過去20年にわたってこの技術に改良を加えてきたが、ついにこのBMW i Vision Deeでは、フロントウインドウの全幅すべてがヘッドアップディスプレイになり、さまざまな情報が投影されることになる。このBMWヘッドアップディスプレイの量産バージョンは、2025年からノイエ・クラッセのモデルに採用予定となっている。
BMW i Vision Deeは、デジタル体験とBMWブランドのDNAを伝えることにフォーカスしてデザインされており、余分な要素は極力削ぎ落とされたシンプルなものとなっている。クラシックな3ボックスセダンのスタイリングに、BMWキドニーグリルやツインサーキュラーヘッドライト、ホフマイスター・キンク（リヤウインドウからCピラー付け根の斜めに跳ね上げられたライン）といった伝統的なデザインエレメントが採用され、BMWであることが一目瞭然となっている。
インテリアでは、使用する素材を減らし、操作装置や表示装置の簡素化を図り、デジタル体験や新感覚のドライビングプレジャーを邪魔するものがないよう配慮された。ステアリングホイールは中央に縦長のスポークを配した斬新なデザインで、近づいたり触れたりするとタッチポイントがアクティブになって親指での操作が可能となる。このタッチポイントが、ヘッドアップディスプレイに表示されるコンテンツの選択をするツールとなっており、「手はハンドルに、目は道路に」の原則をサポートしてくれる。
BMWは、自身の未来の要素を電気、サーキュラリティ、デジタルと定義している。BMW i Vision Deeは、この3つの要素のデジタルの側面を表現したモデルであり、次世代モデル「ノイエ・クラッセ」の実現に向けた試金石となっている。2025年に登場するBMWの新モデル「ノイエ・クラッセ」をいち早く知るためにも、このBMW i Vision Deeには注目しておきたい。