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市販車とは「かけ離れた世界」かと思ったらそうでもなかった! スーパーカーに投入されたF1由来の最新技術たち (2/2ページ)

市販車とは「かけ離れた世界」かと思ったらそうでもなかった! スーパーカーに投入されたF1由来の最新技術たち

この記事をまとめると

■現在の市販車にはF1からフィードバックされた技術を搭載するモデルが少なくない

■最近では、マセラティとメルセデスAMGが、それぞれF1技術を応用したエンジンを開発している

■カーボンモノコックフレームやグランドエフェクトなどもF1で培われてものだ

マセラティの最新ハイパーカーもF1技術を搭載

「マジかよこのエンジン」と思わず唸らされたのは、マセラティが2022年秋に、ニューモデルのミッドシップスポーツ「MC20」を発表したときのことだった。その美しいボディフォルムに一瞬で魅了されたことも忘れられない体験だったが、もっとも大きな感動は、冒頭に触れたとおりそのエンジンにあった。

 スペック表で簡単に書くならば3リッターV型6気筒DOHCターボ。参考までに最高出力は630馬力を発揮し、最大トルクも730Nmという数字を達成している。驚かされたのはその点火システムで、実際のスペック表には「ツインスパーク+パッシブプレチャンバー」の表記があった。これは2014年シーズンのF1マシンに燃料の流入制限が設けられたことを受けて導入された、より高い熱効率を得るための技術。それを量産ロードカーに導入してきた意味は非常に大きい。

 この3リッターエンジンには、ネットウーノの名が与えられているが、これはマセラティが本社を置く、イタリアのモデナの象徴ともいえるネプチューンを意味している。

 エンジンそのものをネーミングするあたりには、マセラティのネットウーノにかける意気込みが伝わってくるが、はたしてパッシブプレチャンバー(副燃焼室)とはどのような技術なのだろうか。

 これは小さな副燃焼室、実際にはプラグの先端を覆った程度のスペースの中でまず混合気を点火。ここで発生した火炎をメインの燃焼室に送り、混合気を瞬時に燃焼させるというシステムだ。燃焼時間の短縮化、熱効率の向上等々、このシステムにはさまざまなメリットがあり、マセラティは堂々とF1由来の技術と主張する。

 F1のパワーユニットのなかで、現在もっともその重要性が話題となっているエネルギー回生システムも、すでに市販車への導入が始まって久しい。ただし、それが市販車で実用化されているのは、一般的には運動エネルギーを電気エネルギーへと変換するMGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)のほうで、これはF1の世界では2014年シーズンから導入が可能になった技術(その前身となったKERSは2009年に採用が始まった)。

 キネティック、すなわち運動エネルギーをブレーキング時などに回生し電気を生み出し、必要時にはモーターを介してICE(内燃機関、現在では1.6リッターのV型6気筒)のアシストを行う仕組み。もう一方のMGU-Hは(モーター・ジェネレーター・ユニット・ヒート)、このICEに組み合わされるターボからの排気ガスを利用して、その熱でエネルギー、つまり電力を回収するシステム。

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