フェラーリやポルシェが復帰!
さて、ル・マン100周年を迎える2023年のル・マン24時間とWECシリーズだが、このメモリアル大会に向けて、各メーカーが一昨年あたりから次々と参戦を表明していることはよく知られるとおりだ。
なかでももっともインパクトが大きかったのは、2022年10月に耐久レースへの復帰を発表したフェラーリだろう。ハイブリッドカーのフェラーリ499Pをお披露目。3リッターV6ターボエンジンを使うハイブリッドカーで、1960年代にル・マンを6連覇したメーカーとして、スポーツカーレースへに意欲的な復帰姿勢を見せている。
耐久レースのチャンピオン、ポルシェもハイパーカークラスでの復帰を公表している。実態は定かでないが、以前発表されたアウディとの共同プロジェクトカーである可能性もある。ポルシェは、要求技術がきわめて高いと言われたハイブリッドプロトの時代に、カムバックしていきなり快走を見せ、ハイブリッドの先発メーカーであるトヨタ陣営をして「さすがポルシェ」と言わしめたスポーツカレースのエキスパートであり、ル・マン7連覇の金字塔を打ち立てたメーカーでもある。
ル・マン、WECがディーゼルプロトの時代に、アウディと真正面からやり合ったプジョーは、ハイブリッドハイパーカーの9X8を2022年のWEC第4戦モンツァでデビューさせ、富士戦にも参戦。まだ車両の熟成に。いまひと息の印象を残していたが、レースラップはトヨタGR010と遜色ないスピードを見せ、2023年シーズンに対する高い可能性を感じさせていた。
すでにノンハイブリッドLMP1車両を走らせていたアルピーヌ(シグナテックのハンドリング)は、特例の適用によりハイパークラスでの参戦が可能となっていたもので、2023年は特例が認められなくなる見通しから、LMP2クラスでの活動が示唆されている。アルピーヌとしては、2024年からLMDh(ル・マン・デイトナ・ハイパーカー)規定車両での参戦を予定し、2023年はそれに対する準備期間に充てられると見られている。
アルピーヌと同じく2024年にル・マン/WECへの参戦を表明したのがBMWだ。4リッターV8エンジンを使うハイブリッドカーで、やはりLMDh規定の車両になると見られている。
ル・マン/WEC用のプロトタイプカーは、LMH(ル・マン・ハイパーカー)とLMDhとなり、両車はモーター駆動の電力規定が異なり、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)によって性能の均一化が図られることになる。
1991年、マツダが787Bでル・マン制覇を果たしたときには、まさか日本車が勝つ時代がくるとは思いもよらなかったが、それから30年近くを経たハイブリッド時代に、トヨタがル・マン5連覇を成し遂げる快挙を演じてのけた。ル・マン100周年大会を目標に、参戦の名乗りを挙げるメーカーが相次いでいるが、群雄割拠の状況で、どういった展開になるのか、今から2023年のル・マンとWECに対する興味は尽きない。