2代目以降はハイパフォーマンスモデルの証となった
CSLの歴史を紐解くと、初代は1973年の欧州ツーリンカー選手権にデビューした3.0 CSLである。
その当時、筆者の記憶では3.0 CSLの雄姿を、日本の自動車専門誌が海外レース情報として伝えていた。日本ではまだ、いわゆるスーパーカーブームの前夜であり、量産車でみると、小柄でスパルタンなイメージがある2002ターボを筆頭とする2002シリーズが日本人にとってのBMWの商品イメージだったと思う。
3.0 CSや3.0 CSiは2002より上級モデルであり、そのレース仕様として生まれた3.0 CSLは、当時の日本人にとってはかなり遠い存在という印象があった。
また、3.0 CSLは現在まで続くBMWのモータースポーツ領域とハイパフォーマンスモデル領域である「M」の礎となった。
時代は流れて、2003年。満を持して2代目CSLとしてM3 CSLが登場した。
3.2リッター直列6気筒エンジン搭載。カーボンファイバー製の大型エアインテークによる導入空気量の増加に対して、バブルタイミングなどエンジンをファインチューニング。
トランスミッションはSMG/ドライブロジックギヤボックスを採用し、ドライバーは11通りのギヤシフトオプションを選択できるシステムだ。ボディでも各所にカーボン強化プラスチックを採用し、動力性能では0-100km/h加速は4.9秒、0-200km/hが16.8秒だった。
運動特性については、レーシングカーに匹敵するダイレクトな操縦感を実現するため、通常のM3と比べてフロントトレッドの拡大し、サスペンションのジオメトリーも変更。ニュルブルクリンクでのタイムアタックでは、当時は大きな壁と言われていた8分を切ることを目的に開発が進んだ。
こうしたCSLとしての開発の蓄積を受けて、CSL誕生50周年を機にM4 CSLが誕生した。