電動車の魅力が知れ渡った現在は電動車アピールをするほうが有利だ
プラグインハイブリッド車については、三菱自動車工業もアウトランダーPHEVを2012年に発表し、翌年1月に発売した。三菱自は、当初からPHEVの表記である。
それぞれで表記が違うのは、トヨタと三菱自でプラグインハイブリッド車の成り立ちが異なるからだろう。
トヨタは、1997年の初代プリウスにはじまるハイブリッドシステムを基に、車載バッテリーの容量を増大してプラグインハイブリッド化しており、その手法は今日も変わらない。
これに対し三菱自は、2009年に発売を開始した電気自動車(EV)i-MiEVのモーターとバッテリーを活用してプラグインハイブリッド化している。
つまり、トヨタはガソリンエンジンの低燃費化のためモーターとエンジンを駆動に利用するハイブリッドを基にしているが、三菱自はEVのモーター駆動を基にしているので、仕組みが異なるのである。
もちろん、車載バッテリーに十分な電力が充電されている間はモーター駆動であることに違いはないが、たとえば現在のハリアーPHEVとアウトランダーPHEVを比較試乗すると、ハリアーはエンジンが早めに始動するが、アウトランダーはかなりモーター駆動を継続する。HVの延長と考えるか、EVの一歩手前と考えるかの違いだろう。
HVにおいても、日産のe-POWERの人気と、HVでもアクセルでのワンペダル的な運転ができることの魅力など、モーター駆動を主体とすることによる利点が浮き彫りになり、人気を呼び出した。そしてトヨタも、新型アクアではモーター駆動領域を増やし、e-POWERに通じる運転感覚を持ち味にしている。
環境適合性の向上はもちろんだが、EVが次第に普及しはじめることにより、モーター駆動であることの魅力が拡散してきた市場動向を反映したPHEVへの表記変更といえそうだ。