今後は家電のようにクルマを買い替えるのが当たり前になる
そもそも当時の電子部品自体が作られていなくて入手不可ということは多い。コンデンサーや抵抗の交換ぐらいならできるが、ICなどは無理。回路を設計し直せば復活は可能で、バイクでは新品を作るところもあるものの、こちらはひとつ程度なのでまだいいが、クルマともなると複数付いているのが問題。実際、最近のクルマは軽自動車でも30個以上は付いているのですべてを新規製作するのは無理だ。この問題は1990年代のクルマでも発生し始めていて、時間が経つと当然2000年代のクルマにもシフトしてくるのは確実だろう。
さらに、深刻なのは2000年に入ってから続々と登場してきたハイブリッドやBEVなどのいわゆる電動車だ。小さな基盤がおかしくなるのは序の口で、電動車ともなると電気系統が複雑かつ、大型化。モーターやコンパーター、インバーター、バッテリーなど、これらが壊れたらどうするか? これらをいつまでもメーカーが作って、供給する可能性は低い。
そもそもパーツ自体がどんどんと進化して時代遅れになっていくわけで、そうなると長年にわたって、部品を交換しながら大切に乗っていくというのは困難になって、家電と同じような扱いになってしまうだろう。
そのほか、BEVやPHEVで気になるのは急速充電の規格の変更だ。今では国産であればチャデモが採用されているが、海外では別の規格となっているし、メーカーで言えばテスラは独自のものとなっている。覇権争いの状態で、今のところは統一しようという動きはあまりないが、そのうちに世界統一規格でもできたらチャデモは昔のものに。つまりバッテリーも含めた充電系に不具合があればそこでおしまい。問題なくても、チャデモ規格自体がなくなってしまう可能性はある。
レストアどころの話ではない。つまり直しながら長く大切に使っていくという考え自体が、これからのクルマには当てはまらなくなって、10年経ったら廃車が当たり前になるかもしれない。よく言われる自動車の家電化で、長く乗るというか、乗れない時代が来てもおかしくないだろう。