あれっ? と思うクルマは令和にも!
コンプライアンスが厳しくなり、メディアでの発言・表現があらゆる方面からチェック&規制される昨今。クルマのデザインもそうした世の中の事情が反映されているのは当然ですが、やはりなかには「あれっ? これってパクりじゃね!?」と感じてしまうようなケースがままあります。
ランボルギーニ・ウルスとトヨタC-HRのケースが、まさにそれです。かたやイタリアのスーパーカーブランドが誇る超ラグジュアリーSUVで、もう1台は天下のトヨタ自動車が世界100カ国以上に展開する大人気コンパクトSUVです。この2台を並べて遠くから眺めてみると、全体のシルエットだけなく、ボディを彫刻刀で切り取ったようなディテールの仕上げがよくよく似ているのがわかります。666馬力で0-100km/h加速3.3秒を実現し、SUVでありながらスーパースポーツカー並みの実力も兼ね備えているウルス・ペルフォルマンテ。
一方、庶民的SUVながらニュルブルクリンクのレースやラリーを想定したサスペンションチューニングを行なったC-HR。つまるところ、走りを追求したSUVは、そのフォルムが似てしまうのかもしれません。どっちがどっちを模倣したのかは、この2台のデビューが微妙に重なるため、明言することは控えておきましょう。
さて、クルマ業界におけるパクり、模倣、オマージュは、じつはつい最近でも行われています。2022年9月に発売されたトヨタ・クラウンクロスオーバーですが、リッチなクルマ好きが気になるのは、2023年にデビューする予定のクラウンスポーツでしょう。全容はまだ明らかにされていませんが、そこかしこで垣間見えるデザイン画像からイメージするスタイリングは、端的にいってフェラーリ・プロサングエにそっくり!
プロサングエは“フェラーリ初の4ドア・4シーターSUV”として、かなりの鳴り物入りで2022年9月にデビューしました。そのマッシブながら流麗なスタイリングが、まもなく満を辞してデビューするクラウンスポーツとよく似ているという事実は、日本のトヨタファンは喜ぶのでしょうか。それとも、決してベンツやBMWではなくあえてクラウンに乗りつづけているコンサバなクラウン党は、「わざわざイタリアンSUVに似せなくても良かっただろ!?」と嘆くのでしょうか。
世界にあまたあるクルマを見て「これとあれ、よく似ているよね」と気づいたとしたら、それは感性が鋭く、またクルマのことをよく知っている人に違いありません。だからといって「真似っこじゃん」とか「パクりは良くない」とか批判するのではなく、「クルマのデザインとは何か?」をもっともっと深く探求するきっかけにしていただけたらと思います。