この記事をまとめると
■日本カー・オブ・ザ・イヤー2022-2023の最終選考が終了
■選考委員を務めた方々に10点を入れたクルマとその理由を聞いた
■今回はホンダ・シビックe:HEV/TYPE Rを選んだ片岡英明さん
3つのパワートレインすべてが魅力的!
日本カー・オブ・ザ・イヤー2022-2023は、10ベストに11台が残る激戦となった。時代の変わり目を感じさせるように、今回はバッテリーEVが3車(兄弟車を入れると4車)も最終選考に残っている。軽自動車も11台のなかに残っているなど、時代が変わったな、と感じさせられた。これとは逆に、輸入車のなかには1000万円に達するクルマも名を連ねている。投票前から、ジャーナリストの考え方によって配点は大きく変わるだろうな、と予想された。
ご存じの人も多いと思うが、ボクはバッテリーEVを所有している。EVの魅力は知り尽くしているし、試乗した日産サクラと兄弟車の三菱eKクロスEVを筆頭に、ヒョンデのアイオニック5とBMWのiXは素晴らしい仕上がりだった。が、EVとの付き合いが長いだけに辛口の評価となる。また、日本専売モデルの日産サクラと兄弟車の三菱eKクロスEV、そしてアルトは「K CAR オブ・ザ・イヤー」も設定されているため、そこで評価することにした。本賞は、いずれも実力伯仲で、飛び抜けた新車がなかったため大いに悩んだ。
そのなかから10点満点を与えたのは、ホンダのシビックe:HEV/TYPE Rである。内燃機関で育ち、その楽しさを知り、発展性についても未練を残しているボクは、もうしばらくの間は、内燃機関の可能性に期待してみようと考えた。世界を舞台に活躍を続けているシビックは、3つのパワートレインすべてが魅力的だ。3モデルは性格も違うが、実力も高い。
1.5リッターのVTECターボ搭載車は低回転からパワーとトルクが盛り上がり、7速CVTもタイムラグなしに気持ちよくつながる。操る楽しさのある6速MTを設定しているのも好印象だ。軽快なハンドリングにも高い評価を下した。新開発の2.0リッター直噴エンジンに発電用と駆動用のモーターを組み合わせたe:HEVは応答レスポンスが鋭く、スポーティな味わいだ。ECONモードでも気持ちいい走りを見せ、実用燃費がいいのも魅力である。優れた回頭フィールとコントロール性の高さも好印象だ。
そして、シビックの魅力を決定づけたのが、レーシングカー直系のタイプRの存在である。圧倒的なドライビングプレジャーを街中からサーキットまで味わうことができ、FRスポーツのように軽やかなハンドリングも素晴らしいと感じた。意のままに扱え、6速MTの操作フィーリングも秀逸だ。3モデルとも世界中で高く評価されているのがわかる仕上がりだったからシビックに満点の10点を与えた。
直列6気筒ディーゼルを主役としたマツダのCX-60のドライバビリティのよさと、大改革を行ったクラウンも印象に残る新車である。この2車も内燃機関の意地を見せてくれた。やや荒削りだが、商品として魅力だと感じる。
輸入車はいずれも秀作だ。走りはいいし、強い個性も感じられるクルマばかりが残っている。ルノー・アルカナと悩んだ末にヒョンデのアイオニック5を輸入車のトップとした。アクセルを踏み込むと一気にパワーとトルクが盛り上がり、パワフルだ。アクセルペダルの操作だけで自在に速度をコントロールできるワンペダルドライブも快適だった。ハンドリングも軽やかである。トータル性能は高く、コストパフォーマンスを含め、日本車にとって手強い存在になると感じた。このアイオニック5はインポート・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いている。
デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーはBMWのiX、テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーはVCターボとe-POWERのエクストレイルに多くの点を与えた。パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤーはシビックが受賞したが、ボクはフェアレディZを選んだ。K CAR オブ・ザ・イヤーはサクラと兄弟車のeKクロスEVを最上位としている。ただ、アルトの軽量化技術も高く評価した。