この記事をまとめると
■見た目とは裏腹に乗り心地の良いクルマを紹介
■先代からの改良や最新の技術を投入することによって乗り心地を高めている
■ひと昔前のスポーツカーのように犠牲になっている箇所が少ない
身構えて乗ったらノックアウト確定!
スポーツカーというのは、「速く走ること」を何よりも重要な使命として背負って生まれてきたクルマを指します。そのため、無駄を削ぎ落とした軽量かつ高い剛性のボディで、エンジンパワーを余すところなく使ってタイヤを前に進めるために、ドライバーもパーツの一片と見なすような、ガチガチに固められた足まわりでひどい乗り味となることも珍しくありませんでした。
でもそれは、ひと昔前の話となりつつあります。近年では足まわりをただ固めるのではなく、より接地感が高まって路面を追従していくようなしなやかな動きにしたほうが、結果的に速く走れるという考え方や、スポーツカーといえども日常の快適性は犠牲にしないという考え方、スポーツ走行時にドライバーへの負担を軽減するという狙いなど、スポーツカーづくりも日々進化しています。また、タイヤの進化もスポーツカーの足まわりを格段によくしているのです。
今回はそんな、スポーツカーなのに足まわりがしなやかで乗り心地がいいモデルをご紹介したいと思います。
1台目は、タイプR誕生30周年、シビック誕生50周年の節目に登場した新型のホンダ・シビック TYPE R。先代のデザインと比較するとやや大人しく派手さがない印象を持つ人もいるかもしれませんが、新型TYPE Rのデザインはあらゆるパーツの実効空力がしっかり機能しており、走り出すとダウンフォースが効いていることは明らか。
足まわりには、フロントは先々代から採用されているデュアルアクシスストラットサスペンションですが、各部の剛性アップなどを図っており、しっかり伸縮することでリヤの足まわりを必要以上に固めることもなくなり、結果的にバランスが良くなっているとのこと。また、タイヤは標準でミシュランのパイロットスポーツ4Sが装着されていますが、オプションとして用意されるパイロットスポーツCUP2コネクトを装着すると、さらに乗り心地が上質になるというから驚き。
走行モードは「コンフォート」「スポーツ」「+R」「インディビジュアル」の4種類があり、モードに応じてエンジンの制御やパワーステアリングのアシスト量、可変ダンパーの減衰力特性、エンジンサウンド、レブマッチシステムのレスポンス、メーター表示が切り替わるようになっていて、もちろん「コンフォート」なら上級セダンもびっくりの快適性。
たとえサーキットを攻めるようなときに使う「+R」にしても、まったく不快にならないのはすごいところです。
2台目は、日本だけでなく世界を代表するライトウェイト・オープンスポーツカーであるマツダ・ロードスター。車両重量を990kgに抑えた990Sの登場で話題を集めましたが、乗り心地重視ならダンゼン「RS」です。どちらも1.5リッターの直4エンジンを搭載していて、132馬力/152Nmというスペックですが、乗り心地はちょっと違うのです。
16インチアルミホイールを装着しているRSは、走り出すと自然でのびやかな加速フィールや、体が路面に触れているかのようなダイレクト感、瞬時に動くコントローラブルな楽しさはそのままに、直進での安定感や重厚感がややアップし、素の操作感と上質感がちょうどいいバランスになっていると感じます。
ステアリングの操作感などにも上質な感じがあり、ロングドライブでも快適。やはりオープンカーなのでソフトトップだと静粛性は気になるシーンもありますが、静かなドライブが好みの人にはハードトップが装着される「RF」もおすすめです。