この記事をまとめると
■以前は各メーカーが新車の「月販目標台数」を公表していた
■しかし今では言い方を変えたり、公表しないことを選択するメーカーも
■「月販目標台数」を公表する意味や効果について解説する
最近は表現が多様化している
メーカーが新車を発表したとき、どの程度の台数を売る予定なのかを示すことが多い。以前は「月販目標台数」、つまり1カ月に販売する目標として、4000台とか8000台といった数字を公表していた。
この表現が最近は多様化している。クラウンクロスオーバーは「月販基準台数:3200台」という表現だ。日産は以前は「目標販売台数」として1カ月当たりの台数を示したが、2022年に登場したエクストレイルやセレナは公表していない。ステップワゴンは「販売計画台数(月間):5000台」と表現した。CX-60は「月販計画台数:2000台」になる。
「月販目標台数」の公表は古くから行われてきた。たとえばカローラの場合、1966年に発売された初代モデルでは「生産台数は当面月産5000台、将来は月産2〜3万台までもっていく予定」とされている。1979年に登場した4代目では「当面月販/カローラ:2万5000台、スプリンター:1万2000台をそれぞれ見込んでいる」という具合だ。
クルマは単価が高額な工業製品で、家庭電化製品などに比べると販売台数が少ない。そのために自動車メーカーは大企業なのに、新型車の売れ行きが5〜6年低迷すると、経営状態が悪化することもある。1台当たりの価格が高いために、1車種の売れ行きがメーカーや販売会社に大きな影響を与えるわけだ。
そうなるとクルマを経済面から捉えた場合、「どの程度売るつもりなのか」が重要になる。報道関係者からも販売の見通しに対する質問が寄せられるため、古くから「月販目標台数」を公表していた。
ただし近年では、報道発表の内容が、社内にも対外的にもコミットメント(公約)の意味を持つようになった。以前は月販目標を5000台と公表しながら、翌年の1カ月平均登録台数が2000台まで落ち込む車種もあったが、今はコミットメントを達成できなかったことになってしまう。