この記事をまとめると
■バスやタクシーのスタッドレスタイヤ事情を解説
■タクシー用のスタッドレスタイヤは一般乗用車と比べて耐摩耗性能に優れている
■路線バスは雪の有無に関係なくスタッドレスタイヤに履き替えていることがある
春になってもスタッドレスを履き続けていることも
本稿を執筆しながらテレビをつけていると、全国各地でかなりの雪が降っているといった報道がされている。気候変動で地球温暖化が進んでいるとはいえ、それなりに冬は寒いことに変わりない。寒さの話題とともに、大手カー用品量販店のピットでスタッドレスタイヤを装着するクルマがあとを絶たないとのニュースも報じられている。
バスやタクシーでも時期を見計らって夏タイヤからスタッドレスタイヤに履き替え、本稿執筆時点では東京都内でもすべてではないがスタッドレスタイヤに履き替えているバスやタクシーが走っている。バスやタクシーではウインターシーズンに合わせて新品のスタッドレスタイヤ(バスは再生タイヤのケースもあり)に履き替えると、冬が終わり春になってもそのまま履き続けていることも珍しくない。だいたい6月あたりまでに夏タイヤに交換し、履いていたスタッドレスタイヤはその役目を終えることになる。
いわゆる観光バスでは、各事業者がどのような運行業務を請け負っているかでスタッドレスタイヤを履いている期間の総走行距離は変わってくるが、東京都内のタクシーではコロナ禍前では年間10万km走るのが一般的とされている。仮に12月にスタッドレスタイヤに履き替えて5月に夏タイヤに戻すとすると、6カ月間スタッドレスタイヤを履いていることになるので、スタッドレスタイヤを履いて約5万km走ることになる。
調べてみると、一般乗用車でのタイヤ交換の目安となる走行距離は3.2万kmほどとしている情報が多い。タクシー用スタッドレスタイヤは、一般乗用車と比べて耐摩耗性能に優れているということなので、雪解け以降も履きつぶすために、スタッドレスタイヤを履き続けることになっているようである。バスについても、雪の季節以降も履き続けるのは同じ背景があると考えていいだろう。ただし、雨の日にマンホールを踏む時などは滑りやすいので、遅くとも梅雨のシーズン前には、夏タイヤに履き替えているようだ。
そして、新たな雪のシーズンにはまた原則として新品のスタッドレスタイヤを履くことになるのである(バスでは再生タイヤのケースもあり)。路線バスでもシーズンになると降雪地域ではなくとも、雪の有無に関係なく履き替えていることがある。公共輸送機関としては、よほどの深刻な降雪以外は運行を続けるためにスタッドレスタイヤを履き、降雪地域の人には笑われるレベルの降雪でも道路がパニック状態になる都内や隣接県の都市部などでも、雪が降るとチェーンを巻いて運行するケースも多い。
ただここ3年はコロナ禍で、とくに観光バスと呼ばれる貸切バスがほとんど運行せずに車庫に置かれる日々が続いた。そのため、スタッドレスタイヤを毎シーズン履き替える必要がなくなり、タイヤ関連業界は大きなダメージを受けたとも聞いている。