この記事をまとめると
■毒を持った生き物の名前が使われているクルマを紹介
■モチーフとなっている生き物に名前負けしない過激な性能が売りとなっている
■1度オーナーになると病みつきになる人が多い独特な雰囲気を持っている
1度触れたら毒にヤられること必至なスポーツカーたち
砂漠を這いまわるサソリのことを知らずとも、その姿をひとめ見たら誰しも危険な生物だと本能的にわかるはず。サソリだけでなく毒をもったヘビや昆虫というのは、たいてい危ない見た目をしているもの。クルマ好きにしてみれば、サソリのマークが付けられたアバルトも同様かもしれません。
コンパクトな車体のわりに、太く大きなタイヤ&ホイール、クラウチングスタートでもするかのよう低く構えた佇まい。ひとたびエンジンをかければ驚きの轟音ときたら、「サソリの毒」を感じてしまうのも無理のない話ですからね。
アバルトがエンブレムに使っているサソリは、創設者のカール・アバルトがさそり座生まれということにちなんだもの。当初、庶民向けのフィアット、そのなかでもスモールサイズのチューニングからスタートしていたので、「小さなクルマでもヤバい毒があるぞ」というアピールには、サソリこそピタリとはまるモチーフだったに違いありません。
この毒にやられたが最後、急に「エスプレッソ好き」になったり、しゃべり方にやたらと熱がこもってジローラモさんみたいな早口になったり、なにかと「イタリアかぶれ」な症状が出てくることがあるようです。
もっとも、サソリの毒は人が死ぬようなものではありませんから、イタリアかぶれになった方には「おいおい、アバルトはオーストリア人だぞ」などという解毒剤がよく効くことでしょう。
サソリの毒より怖いのは、間違いなく毒蛇です。アバルト同様、毒蛇をアイコンに使ったクルマも、当然そうした毒性がありがち。すぐに思い浮かぶのはキャロル・シェルビーが作ったコブラ、クライスラーのダッジ・バイパー(広く毒蛇をさしますが正確にはクサリヘビ、いわゆるマムシに類する猛毒をもったヘビ)のツートップ。
この毒にやられると、アバルトと同じくアメリカかぶれになってテンガロンハットかぶったり、バドワイザー飲んじゃったりするのかと思いきや、そちらの症状は軽そうです。むしろ、コブラの生産数やら車体ナンバー、はたまたレースリザルトを丸ごと暗記したり、バイパーにしても、初代モデルから3代目にかけてのディテール変更を一晩中語り明かすなど、重篤なオタク化のほうが問題です。
また、ヘビの毒は実車を持っていなくとも効いてくるという厄介な側面も。昔はプラモデルがやばい媒介だったかもしれませんが、最近ではフォードVSフェラーリなんて映画からコブラの毒にやられるケースもあるようです。
いずれにしろ、オタクへの特効薬というのはいまだ開発されていませんから(開発しているのか?)罹ってしまった場合はショック療法とばかりに、別の毒にあたってみるのがよろしいのではないでしょうか。