この記事をまとめると
■一灯点滅式信号機は1984年に誕生し、2015年には5904基まで増えた
■しかしいま姿を消しつつある
■一灯点滅式信号の撤去が進んでいる理由について解説
警察庁が一灯点滅式の撤去を検討するよう通知
住宅街などの小さな交差点に設置され、狭い道路での出合い頭の事故を防ぐことを目的に設置されてきた「一灯点滅式信号機」が姿を消しつつある。
一灯点滅式は、四方に1個ずつライトがあり、赤色点滅は一時停止、黄色点滅は注意して進行することが道路交通法で定められていて、1984年に福岡市南区に設置されたのが第一号。
この福岡県から九州を中心に全国に広がり、2015年には5904基まで増えた。
しかし、警察庁では2015年12月、一時停止標識で代替可能な場合、一灯点滅式の撤去を検討するよう通知。
交通実態にそぐわなくなった信号機を放置した場合、信号無視を誘発したり、クルマを不要に停止させたりするとして、2019年3月に再び警察庁が都道府県警に撤去を促す通知を出して、一灯式点滅信号機の撤去が進み出している。
一灯点滅式信号の撤去が進んでいる理由は主に3つ。
ひとつはLEDなどを使って夜でも明るく見える一時停止標識が普及してきたり、カラー舗装で一時停止を知らせたりすることで、一灯点滅式信号が不要になってきたこと。
ふたつ目は、一灯点滅式信号の老朽化により、維持管理コストの負担が増えてきたこと。
そして、一灯点滅式信号機の設置箇所が一桁台の都道府県もあり(千葉県はゼロ)、地域差があったり、不慣れなことでかえって誤解や、曖昧な解釈をするドライバーが多いという問題もあったため。
事実、福岡県では2021年3月までの5年間で約300基の一灯点滅式信号を撤去し、標識に置き換えたところ、撤去後に人身事故が減少したという結果も出ている。
標識は災害時の停電に影響を受けない利点もあり、すでに一灯点滅式信号機の全国の設置数は2016年3月末の5904基だったのが、2021年3月末に4653基までに減少。
これから随時、LEDなどの光る一時停止の標識や、「止まれ」の路面表示もしくはカラー舗装に切り替えられていくことだろう。