グローバルでクルマの保有期間が長期化する傾向にある
そうした自動車メーカーの事業戦略によって、ユーザーは新車を4〜5年程度で買い替えるようなイメージを持つようになった。
それが近年、クルマの経年劣化による故障も減ったこと、若者のクルマ離れと言われるように若者世代の所得が伸び悩んでいることで新車購入の意識が高まらないこと、また経済成長期と比べると一般ユーザーが積極的に上位モデルに買い替えるといった風潮でもなくなるなど、さまざまな社会的要因によって保有期間が延びているのではないだろうか。
一方、海外に目を向けると、たとえばアメリカでは所得階層や個人のクルマに対する保有の考え方に大きな違いがあるが、走行距離としては10万マイル(約16万キロ)程度まで所有するといったイメージを持つ人が少なくない。
逆に言えば、その人が1年間にどの程度の距離を走るかだが、例えば一般的なリース契約では月1000マイルで年間1万2000マイルを基本契約としている。つまり、10万マイルまで8年程度となり、これは日本での現状と変わらないことになる。
また、アメリカでの新車販売方法は、フルモデルチェンジやマイナーチェンジというイメージではなく、毎年のイヤーモデルという考え方を採用している。それもあって、ユーザーとしても新車購入動機が日本のようにフルモデルチェンジ後に集中する、いわゆる新車効果が強くなく、モデルライフ後半でも販売台数を高く維持するケースは珍しくない。
また、欧州でも国や地域、そして人によって、日常での移動距離は大きな違いがあるため、保有期間にもかなりのバラつきがあると考えられる。
いずれにしても、グローバルでクルマの保有期間が長期化する傾向にあるのではないだろうか。