この記事をまとめると
■デザインが秀逸だったがセールス面で不振だったクルマをピックアップ
■売れなかったものの、グッドデザイン賞を受賞したモデルもある
■「コンパクトクラスでもっとも美しいセダン」と業界の重鎮を唸らせたモデルもあった
デザイン側とユーザー側で嗜好が真っぷたつ!
ヒット作になるか否かは、発売してみないとわからないのがクルマの奥深いところで、多くの評論家が「カッコいい」と絶賛しても売れないクルマもあります。今回は、デザインがよすぎたことが仇になって販売的に失敗してしまった国産車5車を選んでみました。
ヒット作の3代目はちょっと攻め過ぎ?
まず最初は、日産の3代目「プリメーラ」です。ヒット作となった初代と、そのスタイルを色濃く残した2代目に対し、2001年に登場した3代目はまったく異なるスタイリングを見せました。
キャビンフォワードのモノフォルムスタイルは、一気に3ナンバーとなったことも手伝ってじつに堂々とした佇まい。当時のウイング形グリルを巧く取り込んだ立体的なフロントフェイス、弓形の独特なキャラクターラインなど、面の厚みや強いカタマリ感を醸し出しました。
同年のグッドデザイン賞金賞を受賞したこの3代目は、もちろん評論家諸氏にも評判でした。しかし、デザインを手掛けた欧州スタジオのステファン・シュワルツ自らが「ちょっとやり過ぎた」と語っただけあって、残念ながら日本市場では受け入れられなかったのです。
アルファロメオが軽を作ったらこうなる?
2台目はスバルの「R1」です。2003年、同社が東京モーターショーに出品した電気自動車のコンセプトカー「R1e」をベースに、軽規格のエンジン車として2年後に発売されました。
デザインコンセプトは先行した「R2」に準じますが、110mm短い全長、165mm短いホイールベースが唯一無二のミニマムスタイルを生みました。四隅に配したタイヤによる強い踏ん張り感、短くも美しいサイドグラフィック、パンっと張った面の高い質感などすべてが見所。
元アルファ・ロメオのチーフデザイナーであるアンドレアス・ザパティナスの監修によるスタイリングは、独特なスプレッドウイングスグリルを含め、そのあまりに日本車離れした佇まいと、2+2のパッケージが合わさって不人気車となってしまったのです。