200km/hを超えた領域も試したくなるアルトゥーラ
アルトゥーラのメカニズムで最大のトピックスは、最初から触れているとおりPHVのシステムを搭載していること。したがって、アクセルを踏み込んだ瞬間にはエレクトリックモーターのスムースでトルクフルな動きを体験することができる。
このモーターに組み合わされるエンジンは、120度のバンク角を持つ3リッターのV型6気筒ツインターボで、最高出力は585馬力。これに、必要時には95馬力のエレクトリックモーターのパワーが感動的なレスポンスとともに加わるのだから、実際の加速フィールは数字以上のものに感じる。
参考までにV型6気筒ツインターボエンジンに組み合わされるミッションは8速化されたDCT。そのシフトフィールもまた、さらに洗練された印象になった。
富士スピードウェイのコーナーをクリアしても、アルトゥーラの安定感は抜群だ。その理由としてまずあげなければならないのは、新たに開発されたカーボンモノコック「マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)」の採用だろう。
軽量高剛性のレベルを高めたこのモノコックが、4輪をきちんと接地させるために確かに機能している。ちなみにこのアルトゥーラでは、リヤサスペンションにはマルチリンク式を新採用。さらにマクラーレンとしては初となる電子制御デファレンシャルを装備するが、一般道ではスーパースポーツとは思えない、軽快で快適な乗り心地が得られていたのが印象的だった。
指定された最高速の200km/hに近づくと、モノコックの振動はそれなりに大きくなるものの、優秀なエアロダイナミクスから得られる直進安定性の恩恵で、スタビリティに不安を覚えることは一切ない。本来ならばここから先の世界を体験してみたいところなのだが、おそらくその印象は大きく変わることはないだろう。
コクピットでの操作性も大きく向上した。フルデジタルとなったメーターパネルの視認性はもちろん、ドライブモードの切り替えスイッチが、そのメーターパネルの右横に移動したことで、走行中の視線移動がはるかに小さなものになったことは大いに評価したい。
ヘッドレスト一体型のシートはホールド性に優れており、またデザイン的にもエクステリアのフィニッシュに共通するイメージを持つ。新型の縦長8インチサイズのタッチスクリーンが採用されたのも見逃してはならないポイントだ。
MCLAの採用によって、マクラーレンはこれからさまざまなPHVモデルを市場へと送り出す準備を整えた。そしてその先には、もちろんBEVというプロダクトが待っているのだろう。噂のSUVの誕生も含め、これからのマクラーレンはどのように動くのか。興味は尽きない。