現行型は回して楽しむエンジンではない
ベースとなったスイフトは日本で求められる5ナンバーサイズのボディだが、スイフトスポーツは全幅1735mmと3ナンバーボディになる。この程度の幅であれば、気になるユーザーはほとんどいないだろうが、5ナンバー限定の駐車場といった人は気をつけたい。
もっとも、3ナンバーサイズのボディとしたことで195幅のタイヤを履くことができているので、スポーツ性能を重視する向きからすると欠点とはいえないだろう。ただし、このボディはスイフトスポーツ専用というわけではなく、海外仕様ではスイフト全般のスタンダードなボディといえる。だからこそ量産効果が見込め、日本では専用ボディなのにコスパに優れたモデルとしてリリースできているという面もある。
口の悪いユーザーのなかには、フロント・ストラット、リヤ・トーションビームのサスペンション形式ではスポーツカーとして認められないという人もいるようだが、いまどきサスペンション形式だけで否定するのはナンセンスだろう。
とはいえ、メカニズム面でいえば現行型の1.4リッターターボはレブリミット付近まで回して楽しいエンジンでないのは、古典的な小排気量ホットハッチをイメージしている人にとっては残念ポイントかもしれない。
それまでのスイフトスポーツが搭載していた1.6リッターNAエンジンは高回転を楽しみたくなるキャラクターだったが、現行型のターボエンジンは回し切るよりもちょっと早めにシフトアップしたほうが速く走れるタイプといえる。
いずれにしても、スイフトスポーツ専用に左右出しマフラーに合わせてバンパーを専用設計していたり、内装にレッドカーボン風の加飾を与えていたりと、ベーシックモデルのスポーツバージョンとしては十分以上に手間をかけているのがスイフトスポーツ。もろもろ安全装備をつけても210万円前後という価格設定は文句のつけどころがないだろう。